おわりに


あっというまに8日間の旅は終わってしまった。19人の参加者どなたもとてもすてきないい方々だった。
添乗員の中屋さんは、旅行会社が出している雑誌の毎号の記事からして知識豊富な方であることは察しがついていたが、逆にサービスの方は?もしかしたらお高くとまっているような方だったら、という心配もしたが全くの杞憂。とてもよく気のつく方で、ツアー客のどなたにも親切に等距離で接せられる、ナンバーワン添乗員と感心。旅行中気持ちよく過ごせたのも中屋さんのお人柄におうところが大きいと思った。

今回の旅行、他に行きたいツアーはいくつかあったが、全て催行されず、行きたい国リストには入っていたが、トップではなかったキプロス島へ行くことになった。
他のツアーが消えてこのキプロスツアーが残って本当によかった、と思ったのは アシヌウ教会へ行くツアーであったことだ。次にいつアシヌウ行きツアーがあるか分からないので季節的にはどうかと思ったが、アシヌウに行くことが明記されているこのツアー選んだ。(この会社でもトロードス山中に泊まるツアーはこれだけ特別で普通は泊まらないので大抵、壁画教会は何所か一つだけ見るそうだ)

しかしそれにしても11月というのは日が短い。5時過ぎにホテルに入るともう真っ暗、ホテルの周りを少し歩く、などということはできない。
この島は一年で340日晴れ、というお天気で水不足に悩む島だそうだが、なんと大当たりで旅行中一日中雨が降らなかったのはたった一日だけ。お天気が悪いと折角の地中海の色も冴えない。写真の色もくすんで少々がっかり。不完全燃焼の気分だ。

期待のアシーヌウ教会、感動でボーッとなってしまうほど。ビザンティン壁画の素晴らしさを初めて知った気分だった。それにしても暗すぎでよく全体をみわたすことができなかったのがともかく残念。

旅行が決まって少し調べて、キプロス島はビザンティン美術だけでなく、古代から周辺の国々の影響をうけて文化の花を開かせていた島だったことを知って驚いた。古代の劇場や浴場跡、素晴らしいモザイクも見た。

それにしてもこの島もまた地震の被害を受けている。以前なら遺跡を見ても、つわものどもの夢の跡、などと少しロマンチックな気分に浸っただけだったが、今年は違った。
地震にあい、再建しまた地震に遭い、さらにイスラム教徒たちに攻め入られて町を捨てて別の地に移らざるを得なかった人々の悲嘆、苦労、無念をひしひしと感じたのだ。

あの3 11の後では世界の見え方が、物事の受け止め方が、被害を全く受けなかった人間にとっても違ってきているのだ。特に夕闇せまるアフロデティ神殿から眺めた石の原に立つ一本の木は、東北で津波のあと残った陸前高田の一本松を思い起こさせ、身体の震える思いがした。

読んだ本

美術関係

  『ヨーロッパ 生と死の図像学』 馬場恵二・三宅立・吉田正彦編 東洋書林

  『ビザンティンの聖堂美術』 益田朋幸著 中央公論新社

  『世界歴史の旅 ビザンティン』 益田朋幸著 山川出版社

  A Journey Through the Painted Church of Cyprus 』現地で求めた壁画教会の案内書

そのほか朝日カルチャーセンターで 受けた講座のレジュメとノートも参考にしました。

旅行書

  『キプロス島歴史散歩』 渋澤幸子著 新潮選書

   地球の歩き方 ギリシャ(キプロス単独のものは 歩き方にはない)

   * 何といっても役にたったのは30枚にも及ぶ添乗員さんが配ってくださった資料

小説

  『ルネサンスの女たち』 塩野七生著   第四章 カテリーナ・コルネール はキプロス王妃となった人 

映画

  * 『栄光への脱出』日本公開 1961年 (時期は1947年のキプロスとイスラエルに設定されている)

イスラエルに向かうユダヤ人たちが、アラブとの軋轢を恐れてイギリスによって拘束されていた場所がキプロス島。直接キプロスが問題になっている映画ではないが、この島はそういう位置にあるということで。

この映画を見た当時高校生だった私は 早くイスラエルに行ければいいのに、と主人公たちに同情したが(当時はキブツというのも素晴らしいと思っていた) 最近この映画を見る機会があったが、この混迷するパレスティナの状況を思うと 脱出させたのは間違いだった、水際で引きとめてイスラエルに入植させない、それぞれの国でユダヤ人が居場所が得られるよう各国が努力すべきだったのだ、と今さらながら思うことしきりである。(キプロスとは関係ない感想だが) 

買ったもの
特産は レース製品とワイン 他の中近東の国同様 あまーいお菓子
 多少お値段が高いのは レース編み、それでも40ユーロ以下。

   
 ドイリー下の新聞を印刷した袋に入れてくれた
 直径20センチ
 しおり
   
   
   
 ハルミチーズ  
   
  アーモンドクッキー 
   
  ターキッシュならぬ キプロス・ディライト
     
               顔は 浜辺の石、 スカートは
 ステンドグラス
紀元前2000年〜1850年頃の
像のペンダント 

 

   
 ボウルの図柄をとったもの
ペーパーウエイト
 ブローチ
   
 ペトラ・トゥ・ロミウで拾った小石 。北欧のガラス器に入れてかざっている