おわりに



スペインロマネスクの旅、 実質9日間で36の教会(外観のみも含む)を見て回った。ロマネスク教会は 112世紀に建てられた教会だが地域性があり、地域によって異なった様相を呈している。
なかでもスペインはローマのあと西ゴート人に支配され、またイスラム教徒に占領されたために、ひときわ独特なものになっている。モサラベ ムデハル、といった他の国では見られない姿の教会が多く見られた。勿論巡礼路の整備に力があったのはフランスのクリュニー修道会であるから、巡礼路にはフランス的な教会がいくつもある。
しかし今回の私の目的は ロマネスクのみならず それ以前の西ゴートやモサラベ教会を見ることにあった。

西ゴート教会で一つ残念なのは ザモラ近郊にある サン・ペトロ・デ・ラ・ナーベが 今回の見学箇所にはいっていなかったことであるが、長い間の夢であった、キンタニーニャ・デ・ラス・ビーニャスの教会、とりわけあの彫刻をみることができたのは、とても大きな喜びで誇示巡礼をおころ見る人間として念願(宿題?)がかなったおもいである。

カスティーリャ・イ・レオンの旅であるが、メセタ高原だけでなく、リオハやカンタブリア州にはいったこともあり、変化にとんだ渓谷の景色もたのしむことができた。  

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読んだ本

全体 
地域
が限られているうえにロマネスクというテーマに絞られているために 一般のガイドブックはあまり参考にならない。 

ミシュラン スペイン  これは少し古いが にはかなり触れられているところが多い。
尚今回は旅行社で配られた資料が非常に詳しく、なかなかふつうでは手に入らない情報も記載されていて大変役にたった。これがこの社の標準ならいいのだが。

歴史
スペインも三回目、これらの本は既にもっているものだが、ロマネスクはレコンキスタの時代と重なるし、今回は 西ゴートの教会もたずねたので、またあらためて拾い読み。

* 『レコンキスタの歴史』 フリップ・コンラ著 白水社 文庫クセジュ

* 『西ゴート王国の遺産』 鈴木康久著 中公新書
西ゴート王国は415年にトロサ(現トゥールーズ)に本拠地を置き、560年にトレドに遷都、711年に滅びるまで約300年続いた国である。
知られているかどうか分からないが、この王国はイベリア半島全土を支配して近代スペインの元を築いた国である。
最近 神聖ローマ皇帝フリードリッヒ二世についての本を読み、その本では皇帝が法治国家を目指したことに力点がおかれていたが、この西ゴート王国でも法律によって政治がおこなわれていたことはよく知られており『、、、遺産』にはその法律の整備の過程も詳しく書かれている。最後に行ったサン・ファン・デ・バーニョス教会を建てた レセスピント王の作ったリベル法典 これはその後、裁判法典と称されてレコンキスタ後の中世キリスト教王国にも適用させ、領土内の制度的統一をすすめていった、という記述は興味深かった。

* 『図説スペインの歴史』川成洋著  河出書房新社 ふくろうの本
 そのほか 中央公論の世界の歴史全集歴史や 講談社の世界歴史全集なども適宜参考にした。

 (こういったスペインの歴史の本にはどれもサン・ファン・デ・バニョスや キンターニャ・デ・ラsy・ビーニャスの教会の写真が出ている。)
 


美術関係


現地で手に入れた本、 スペインごなので 辞書をかたてに これぞ、というところをよんで 推測するだけだが、 助かった
『パレンシア・ロマネスク』
 
 

ロマネスク美術は 好きな人は好きで、ゴシック以降のような派手さはないが逆に日本人わび・さび好き似合うのか、リタイア後のライフワークとして教会巡りを楽しまれ、著された本に 参考になるものが多かった。

『銀河の道 みちくさ巡礼』  スペイン・ロマネスクを紐解く心の旅 深澤勝永 著 ART BOX 
          著者の経歴は ソニー社員 
2004年から4年間 マラガ大学に語学留学
        写真が豊富で 食べ物のことなどが多い

『神の美術』
 *『イスパニア・ロマネスク美術』 勝峰 昭 著 光陽出版社

              著者の経歴は 伊藤忠役員 マドリッド駐在経験あり
この方はかなり研究を積まれた方のようで(著書も単なる感想ではなく研究書のような感じです)、 現在も スペイン・ロマネスク・アカデミー(日本)La Academia del Romanico Espanol (Japon) 略称 AREJ を立ち上げられて講演会活動などをなさっています。

* 『 スペイン・ロマネスクの道』や『カタルーニャ美術館物語』 これらは今回はあまり参考にしなかったが、著者の鈴木孝壽氏も 松下電器役員で バルセロナ駐在経験のある方。

* 林ふじこ 『スペインプレロマネスク紀行』 もと高校の先生だが スペインに何度も足を運ばれている。 貴重な一冊だが 古本でも 現在手に入らず図書館から何度も借りだしてはよんでしる。

ロマネスクの研究者による本としては旅行記のていさいではあるが

* 『スペインの光と影』 馬杉宗夫著 日本経済新聞社
  (これはずっと手にはいらなくて 何度も図書館で借りていたが最近アマゾンの古本で手にいれることができた)


*『スペイン・ロマネスクへの旅』 池田健二著 中公新書

*『スペインのロマネスク教会』 桜井義夫著 かなり網羅的

*『スペイン巡礼の道』 小谷彰 粟津則雄著 トンボの本『トンボの本には サンチャゴ巡礼は 二冊あるがこれは古い方、最後のほうにある 粟津則雄氏の文章がいい。

スペインだけではないが 

『黒い聖母と悪魔の謎』馬杉宗夫著 講談社現代新書

 『ロマネスクの聖堂』 辻本敬子、ダーリング益代著 河出書房新社 ふくろうの本 

    ベアトゥス本について

『天使が描いた』 名画への旅 3 講談社 この中の 太陽をまとう女と龍  大挿絵師マギウスのベアトゥス本 安發和彰氏によるなども参考にした。

その他にも柳宗玄著作集や 人類の美術 、小学館の美術全集 なども適宜参考にした

また その時々にリンクをはったが、 各教会のホームページも参考になった。
次のサイト(各教会で紹介はしている)はスペイン語ではあるが写真が豊富なので 役にたった
http://www.monestirs.cat/monst/annex/espa/espana.htm

買ったもの
兎も角辺鄙な場所の教会で 絵葉書すらないようなところが多かったこと、それにもうお土産物をためておいても仕方がない、という年齢にもなっているのでので たいした買い物はしていない。

お土産らしいものといえば人形とTシャツ、(ちょっとしたお人形を飾るのは好きなのです)

   
 木彫りの魔女(高さ20センチ弱)  陶製人形(20センチくらい)

 
 巡礼Tシャツ
 
 
 
 レオン、サン・イシドロ教会で買ったしおり

   
 キーホルダー  マグネット  シロス修道院 グレゴリアン聖歌CD
   
 蟹ペースト  塩
   
   蜂蜜
   
  干しいちじく 
その他オリーブオイル サフランなど。


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先日の新聞で リーマンショック以降スペインの経済はなお苦しく失業率が25パーセントを超えることを報じていた。しかし土地の人の生活を知ることのないツアーでは 都市周辺の新しい高層アパートが目につき 生活の苦しさは感じさせられなかった。
そういう経済状態でありながら博物館の入場料は、高齢者が無料であった。とても申し訳ない気持ちがした。
経済状態が苦しいにもかかわらず(これも足をひっぱっているのかもしれないが)高原には、お金のかかる風力発電の風車群が目についた。この国では原発をやめ、エネルギーは再生可能エネルギーを利用する方向にかじ取りしている。
また ピレネーを越えるとそこはアフリカ と言われたような赤茶色の台地の緑化にも取り組んでいて、植林の進んでいる様子があちこちで見られた。

主人は仕事の関係で10年ほど前に何度かスペインに出張・滞在したことがある。そのおり親しくなった若い友人としばらく音信がとだえて心配していたが、つい先日メールがつながった。彼は転職そして、その後起業。元気で頑張っている様子を伝えてきた。子供さんも誕生したとか。彼も含めてスペインの人たち、努力しているのだ。 

この素晴らしい歴史遺産をみせてくれたスペインという国の発展を心から願いつつこの旅日記をおわります。(2014年4月1日追記)