4日目

そのU

 アシヌウ教会〜昼食


1240 アシヌウ

パナギア・フォルビオティッサ聖堂

 
 着く前バスの中から

着く前にバスの中から一瞬石造りの家が見えた。

あれが?と思うような 普通の家に見える建物。

何年か前に『ヨーロッパ 生と死の図像学』東林書房 という本で馬場恵二氏

≪キプロス島アシヌウ聖母教会堂と「キリスト再臨図」≫ 

という論文を読んだことがある(今回も読み直した)ので今回の旅で一番期待した場所である。

(この教会見学が明記されていることがこのツアーを選んだ理由である)

よくみると丸くアプシスが 突き出しているので教会だな、 と思う。

西側つまりアプローチ(下写真)からみると左手にも半円計に突き出している部分があるが、これは1200年ごろ付け加えられた部分で1105年創建当時は 右手の部分だけであった。その部分だけをみると、去年行ったイタリア、ノヴァレーザの礼拝堂とほぼ同じか少し大きい位の規模である。。

 
 
   
   北側
 
 北側の壁にフレスコ画の痕跡
 
   
 西側  がんばって 外から 撮ってみた

前のグル―プでほぼ満員なのでゆっくり外回りの写真を撮る。内部撮影禁止なので、外から何とか内部を、と試みるがあまりよく撮れない。

ほぼ前のグループが 観終わったところ 入る。20人もはいると身動きもままならない、と言うのはおおげさだが、その位狭い。おまけに殆んど真っ暗。

ガイドさんが各場面を懐中電灯で照らしながら、説明してくださる。

≪聖母の御眠り≫ の絵が一番印象に残った。これは創建当時の12世紀初頭の作品。この絵で、聖母の足元にいる聖パウロが カンタベリー大聖堂(イギリス)の聖アンセルムスチャペルにある壁画の≪蛇を追い払うパウロ≫(下写真ネットから)と同じであることが ≪キプロス美術紀行≫ で指摘されている。私はこのポーズから 北イタリア、ガッリアーノ のサン・ヴィンチェンッオ教会の壁にかかれた ≪預言者エレミア≫ を思い出した。

やっと来られた、という嬉しさと感動でかなり頭は真っ白状態。

ざっと説明がおわったところで15分ほど自由観賞。なんと私の懐中電灯はスーツケースの中。懐中電灯を持っている方が御親切に「何所がみたいですか?照らしますよ」とおっしゃってくださってあちこち見させていただいたが、目を前後左右に転じて、描かれた物語の関連性をみる、などということはできなかった。やはり堂内全体の明かりが必要だ。デジカメならこの程度でもはっきり撮れるはずだしフォトショップでよりはっきりさせられるのに、と写真禁止がうらめしい。ほかにも12世紀の作品があるので そこをよく照らしてみさせていただいた。

 ≪聖母の御眠り≫≪ビザンティン絵画では 聖母被昇天、とは言わず 御眠り、という) の場面が一番印象的。思ったより大きく 等身大くらいだ。 ただ のしいか のように体が平べったい。まわりを取り囲む人々の群像が いいなと思った聖母に比して体はボリューム感があり、表情からは悲しみが伝わってくる。また ≪使徒の聖体拝領≫などにも見られる群像表現もいいな、と思った。

 
 聖母の御眠り (1105,6年)
 
使徒の聖体拝領  (1105,6年)
 
聖ゲオルギウス  (13世紀初め)

ナルテックスの13世紀に描かれた聖ゲオルギウスはいかにもビザンティンだが可愛い。 背景のラピスラズリの青が少し薄いがきれいだ。横のアナスタシアも素敵。その上には 色が塗られていないのか 白い聖母子 がちょっと気持ちがわるかった。馬場恵二氏はこの白抜きキリストをアンチ・キリストとみ、偽装の聖母子、の確実性が高いとしている。聖餐、など群像がとくにいいように思った。

12世紀の絵より13世紀、14世紀の絵のほうが いかにもビザンティンと言った感じの正面性、装飾性があるようだ。20人身動きままならない状態はつらかったが、なんだかとても親しみやすい感じのする教会だった。ただこういう状態だったので ホテルにもどって、買ってきた小冊子など見ると、ここをもっとしっかり見ておくべきだったというところや見逃した部分などにも気づいてとても残念だった。

小冊子を売っていて、ここには 英語版と版の違うドイツ語版があったので 購入。

1320教会を出る。もっといて明るい光でじっくりみたかった。ただ私たちより前のグループは10分くらいで出て行ったのでそれを思うとよく見せていただいた、ということにはなるのだが。

14 昼食レストラン(多分ここはカコペトリア村)

山の中とはいえ世界遺産をかかえているだけあってレストランもきれいだ。 

それにしても皿数の多いこと。どれも美味しいが何しろ私の胃は小さい。何皿でてくるのか どういうものが出てくるのか分っていれば加減するのだが。(毎日似たようなお料理だが一応写真を載せる)

  
  
   
   
   
   
   
   
   
   
   

ゆっくりお食事をしていたら、すぐ近くの次に見る教会が16時に閉まるので、と最後はあたふた。

そのVに続く