6日目

パフォス〜クリオン〜リマソル

11月7日


3時前に目が覚める。昨夜はすぐ寝てしまったので携帯、デジカメ、デジビデオの充電をする。
この部屋にはコンセントが六つもある。

4時に本格的に起きる。
630分 荷物を出して少し外に出てみる。

 
 
 
 
 
 ナツメヤシ、実がたわわ

ホテルはそのままビーチにつながっている。少しビーチを歩いたがお部屋のテラスからの方が上から見るので眺めがいいことに気がついて部屋に戻って写真を撮る。
7時 朝食

                       
 
 
 
 
 

85分出発

バスに乗って10分くらいで王の墓、と呼ばれる広大なネクロポリスに着いた。王の墓といっても王の名前は分かっていない。立派なので王の墓であろうと思われているものが点在している。岩をくり抜いて家のような造りのお墓がある。現在発掘されているものだけで11。まだ発掘中で紀元前3世紀ごろまでのお墓が100以上あるそうだ。そのうちのひとつに入った。雨水をためる水槽もあるし、宝物?を入れておいたところもある。ただ文字資料がないので具体的なことは何も分からないそうだ。

 
 
 
 
 

また教会だったところもあるので、今は地中に埋もれているのを発掘しているが、キリスト教会の造られた34世紀ごろはまだ埋もれていなかったということになる。壁画があるというが、殆んど見えない。ろうそくの煤で黒くなっている。

       
  壁画が描かれていた痕跡はあるが はっきり何が描かれていたかは 判読しがたい
    
 
   
 家の回廊のよう  
  
壁の斜めの切り込み線は漆喰がよく付くためだそうだ。  

今日もお天気は良くなくてすずろ寂しくなってくる海辺の茫漠とした景色である。これが春だとアネモネが咲いてとても美しい景色だそうだ。

 
 向こうの小山もお墓

アネモネは美少年アドニスと関係がある。
紀元前12世紀、キプロス(パフォス)王キニラスの娘ミュラはアフロディーテの気まぐれのため父親を愛するようになる。それを知った父の怒りをかい、森へ逃げ神に祈って木に変えてもらう。その時すでに身ごもっていて木の洞から生まれた子がアドニス。そのアドニスにアフロデイーテは恋をする。
(何だか年齢がおかしい気がするが)アドニスの趣味は狩りで、狩猟中に猪に襲われて命を落とす。その血のしみ込んだ地から真っ赤な花が咲いた、それがアネモネ。この話はレバノンでも聞いた。レバノンではアドニスはビブロス王の子であるが、狩猟中に死んで、そこに赤い花が咲いたというところは同じである。なおパフォスという地名に関してだがピグマリオンとガラテアとの間の子であるパフォス、の息子がキニラス王で、父の名にちなんで自分の王国をパフォスと名付けた、という説がある。  

855 ネクロポリスを出る。
910分 パフォス・モザイク
ここは貴族の館が沢山あったところで、その屋敷の床に施されたモザイク装飾が残っているのである。モザイクは水をかけると表面のほこりがとれてはっきりするが室内なので雨にもあたらず図柄がクリアでない。

まず、ディオニソスの館に行く。2世紀〜4世紀にかけて造られた。
@   スキュラ・モザイク スキュラとは六頭十二足の海の怪物(一部分は女、一部分は犬、一部分は魚)縁はドルフィンたち と幾何学模様。(光が入ってはっきりしないが) 
このモザイクは小石で出来ていて、ローマ時代のものより
1m地下で発見された。ヘレニズム時代(紀元前34世紀)のもので、キプロスでは最も古いモザイク。

  
  
  スキュラ・モザイク

A    ディオニソスの勝利

B    ディオニソスは インドへの軍事遠征から勝って帰り、奴隷と豹を連れてきた。(右端の少し欠けている)ディオニソスは蔦の冠をかぶり、後ろにワインの壺を持ってしたがっているのはサテュロス。サテュロスの後ろは 森の神パン(半分は人間で半分は山羊)その後ろがインド人奴隷、次の二人はバッカスの巫女たち。

 
 ディオニシウスはインドから パンサーと奴隷を連れ帰った。
右はじが ディオニシウス ワインの壺を持ったサチュロスが 付き従っている。
ラクしようと 片足をキャリオットにかけている。その後ろが 牧神パン
 
ディオニシウスの前をパンサーを連れたシレヌス   

C  フェードラとヒッポリトス フェードラの夫はテセウスでヒッポリトスはその連れ子、つまり義理の息子との道ならぬ恋物語がある)

 
 イッポリトスとフェードラ

D    ガニメデと鷲

 
 
 
 ティスベとピュラモス ロミオとジュリエットの原型ともいえる話がある 
親同士仲が悪いため恋しあう二人は 悲劇的な死を遂げる
 
 ネプトューンとアニュモネ、水汲みに行ったアニュモネがサチュロスに襲われそうになったのを助けた
 
 アポロとダフネ
ダフネは アポロを拒んで河の上である乳に月桂樹に変えてもらう。
モザイクでは 足が少し木になりかけている
 左は 河の神
 
 
 
 
ギリシャ神話をモチーフにしたものも面白いが、麻の葉? 矢羽?組紐、ラビリントス、波などの 幾何学模様やすぐ上の壺なども入った図柄もとても興味見深かった。

次はテセウスの館

テセウスとはアリアドネの助けを借りて、迷宮に入り怪物ミノタウロスを倒した人物で後にアリアドネの妹である前述のフェードラと恋に落ちる。ラビリントスの中心にミノタウロスをやっつけたテセウス。 
左は洞窟の老人、左上でのぞいているのはアリアドネ

 
 
 
 中央テセウス 左上アリアドネ
   
 
    

この丸いかたち即ちロトンダは 教会ではないかと言われている。
下はアキレスの産湯

 
イエス様が お生まれになったときの産湯の場面かと思ってしまった。
アキレスの母親は 息子を不死の身体にするために冥府を流れるに漬けたのを、産湯をつかわせる、としたのだろう。このとき 足首を掴んでいたので そこだけ不死にならなかった。 そこがアキレス腱。
 

遠くの列柱は神殿ではなく 貴族の館だそうだ。 

次は エイオンの館 エイオンとは時または永遠を擬人化した神のこと
まず全体の説明

 
中段 中央の顔だけの人が エイオン、コンテストの審査をする
 
 
 
 全体 左側は かなり剥落
 
一 番下は アポロン(左に座っている) とマルシャス(サチュロス)とのミュージックコンテスト 
アポロンは竪琴マルシャスは笛、 しかし楽器をさかさまに持って演奏することになり、当然笛は負けてしまった 。 
マルシャスの傲慢を罰したということらしい。
 
右上  ヘルメスの膝の上の赤ん坊ディオニソス
 
 海の上、
カシオペアと水の神の娘ネレイドとの間のビューティコンテストがあった。これは ネレイドの側。
コンテストに負けて 不満そうな様子が 表れている

レダ

 
 

まだまだモザイクはあるようで、保護のため土をかぶせて見られないところもある。それにしても、キプロス島にこれだけの素晴らしいモザイク画が存在するとは考えてもみなかった。

 
 遺跡は広い。我々が見たのはごく一部だ

見終わって少し自由時間。少し遠くまで行けたかもしれないが、入り口近くにショップがあるので 絵葉書や ペンダントを買って過ごした。バス移動で港のそばに。
 そのUに続く