2日目

そのⅡ
 
サン・クィリコ・ドルチャ、 ピエンツァ



サン・クィリコ・ドルチャ
(標高409m)  1050分頃着
エトルリアに起源を持つ町。(エトルリア人というのは こういう小高い丘の上に居住地を定めたようだ)中世には シエナの支配下に入っていた。

バスを降りて少し上がる。トンネルをくぐって町に入る。ピエンツァほどではないがここも小さな町である。
まず、レオーニ庭園に行く。幾何学的に造られた庭園。

   
 城壁   城壁の向こうに子供の遊び場
  
  レオーニ庭園

1540年ごろミケランジェロの弟子ディオメーデ・レオーニの作。上のほうに上がると城壁があり、そこからの眺めも良かった。

 
 城壁一部
 
 城壁からの眺め

次にこの町一番の見どころである参事会教会(コレヒアータ) に行く。
この教会の前、この町を突っ切っているのがフランチェジーナ街道。巡礼路なので、この町には巡礼宿や巡礼者のための医療施設もあったそうだ。

コレヒアータ教会Collegiata1213世紀のもの

  
 コレヒアータ教会

通りに面していて、すぐ目に入るのが教会の南側で13世紀中ごろの二つ扉口がある。上の写真に見えている扉口、 ゴシック(1298年)

 
 
 
 
上写真の横の扉口、ライオンと女人像は ジョバンニ・ピサーノ派の作。
 
13世紀中葉 
 
 右上を拡大 ロマネスクっぽい彫刻が見られる

お目当ては西側の扉口。ここがロマネスクである。(1080) 
   
全体を一枚に撮れなかったようです  
両脇のライオンの上の二本組の柱、中ほどで結び目が できているのに注目
 
 バラ窓の車軸状の仕切りが 柱になっている

アリゲーターのような()が二匹向かいあってなめあっている。向かって右の竜のおなかのところから 首が二つはえだしている。なかなか面白い彫刻である。その上は 人魚が向かい合っている。
 
 
 
 尻尾のすぐ横 目隠しされている?その右、顔は蛇、胴体は牛みたいな怪物になめられている、トナカイ人間?欠けているが両側からなめられていたのかもしれない。 細部も面白い
 
 左はグリーンマン? なぜ お干菓子みたいな模様がおかれているのだろうか?

内部は撮影禁止で既に忘却のかなた。メモによると、左側翼廊に聖母と諸聖人の絵。アントニオ・バリーリ作の寄木細工の聖歌隊席(1502) があった、とある。このあたりで、添乗員の乗田さんから、チンギアーレという猪のサラミを 少しずつ分けていただいた。
このあと、現地ガイドが「よかったらオリーブオイルの工場を見学しませんか」と言う。私はプロバンスで見たことがあるので、別に見なくてもいいが、大勢に逆らうつもりもなかった。(オリーブオイルは買いたいし)
しかしサンタ・マリア・アッスンタ教会にも行きたい。ガイドに聞くと反対方向だ、と言う。それで皆とオリーブ工場の方に行きかけると、乗田さんが「工場見学は
30分くらいかかるので、その間行ってきていいですよ。曲がり角で待ってますから」と言ってくださったので 小走りに町の反対側の教会に行った。メインストリートの先、5分もしないくらいの距離を行くと、道の先に可愛い鐘楼?が見えてきた(ブログを拝見しているaliceさんの写真をおぼえていたのですぐに分かった)
   
   

サンタ・マリア・アッスンタ教会 chiesa di santa Maria Assunta
教皇ベネディクト八世により、1017年に建てられた。
入り口上部の彫刻が面白い。
   
   
   
向かって左  顔から直接足が生えている。 右は残念ながらピンボケ、彫刻自体も風化してはいた

運よく開いていた。内部は殆んど窓がなく薄暗い。あとからみると写真はだめだったらしいが、気がつかずに撮ってしまった。お花を飾ってあるところをみると現役の教会らしい。天井は木。人のいない教会は落ち着いてなかなかいい。

   
   
   
   
一番気になったのが この上の彫刻。 線刻で溝に黒い色をつけたように思えた。ニコイポア型という聖母子像だが、イエス様がマリア様と同じ大きさ。右の絵は顔などシエナ派だが 衣装からすると 新しいのではないか、とも思われたが、どうなのか。 解説などは置かれていなかったのでよく分からない。
内部をざざっとみて出て裏に回る。帰ってaliceさんのブログをみると、後陣の写真があった。あちら側にも回れるとは気がつかなくて残念。いそいでもときた道を戻る。途中のサン・フランチェスコ教会にも入りたかったが、閉まっていた。道の曲がり角で乗田さんが立っていてくださった。申し訳ない。工場では説明の最終段階。新鮮なオイルがでてくるところ、すこしずつ試飲。
   
   
新しいものは喉を通る時ピリッとした辛みがあるそうだが、よくわからなかった。
オイルの販売 瓶入りは
500ml10ユーロ、 缶入りは1ℓ入りで15ユーロ。1ℓ入りの缶を買った。

1210分ごろバス駐車場のそばのバールでお手洗い。お水を買う。バスの中で乗田さんから、サンカッロの小ビスケットが配られた。スーパーなどに売っていて手ごろなお土産にいいという。昼食レストランである、モンテプルチャーノのアグリツーリズモに向かう。
 
 
途中左手にピエンツァを見る。つまり朝きた道を戻るわけ。モンテプルチアーノの麓に小さなルネサンス様式の教会。
 
 上が モンテプルチアーノの町 右は ルネサンス様式のサン・ビアージョ教会

アグリツーリズモというのは、農業と旅行を合成してできた言葉。以前農家は大家族であった。1家族あるいは親類など何家族かで、農業を営んできたが、家族数がへったり町へ出たりして家族で農業経営ができなくなった。そこで当初は寝泊まりして農業を手伝ってもらう、という方式で始めたのがアグリツーリズモ。しかし仕事をしてもらうとなると保険その他で面倒なことがおきるので、現在は 宿とレストランだけになっているそうだ。アグリツーリズモというのは農地を3ヘクタール以上持つことが義務。行ってみて分かったことだが今回のところもブドウ園を持ちワイン製造もしていた。モンテプルチアーノの町の麓を巻くように進んでさらに行く。景色がとてもきれい。ところで運転手さん、道を間違えてなかなか着かない。おまけに間違えた時点で 細い一本道なので方向転換がままならない。おかげで同じ景色だが右左 ゆっくり楽しむことができた。

アグルツーリズモ Il Greppo

 
 
     
 ブルスケッタ    ミートソースのタリアテッレ
   
 肉ローストフライドポテト添え  カントゥッチ

ワインは自家製 Vino Nobile di Montepulciano Reserva グレッポ アンティコ というこのお店のもの。今回のツアーではグラスワインではなく、ちゃんとボトルからのワイン付きお食事が何度かあった。それもこの時は景気良く「もう一本あけましょうか」(2杯お飲みになった方もいらしたのかしら)

 
 


これは一本25ユーロで食後希望者に販売、
レゼルヴァでないのは
15ユーロ。
味がものすごく好み、というわけでもなかったので私は
15ユーロのほうを買った。

場所もいいし、オーナーさんも感じがよく皆さんツーショット。 

私も勿論一緒に撮っていただいた。

15時出発 


1550分ころピエンツァのホテル近くに着く。
(バスは旧市街の中にはいれないので、数分歩く)


ガイドはチーズ屋さんにつれていって「真空パックにするように言ってあげますよ」とおっしゃるが私は麓(というか丘の中腹)のロマネスク教会が見たい。道順をきいていると、私も行きたいとおっしゃる方がいらして、一緒に行った。
私は方向音痴なのでご一緒していただいて本当に助かった。 

旧市街のある丘をまくように下りていく。15分くらいふと左手をみると上がなくなっている円塔の横に出た。建物は横からだと教会とは気付かない。
サン・ヴィート教区教会(pieve di S.Vito)

 
 サン・ヴィート教会、 ピエンツァの旧名から、コルシニアーノ教会ともいう

開いているかどうか心配だったが開いていて女の人が入っていくところだった。まず扉口を眺めて中にはいる、件の女性はお祈りにでもいらしていたのか、出ていくところだった。

 
 サン・クィリコ・ドルチャのように、 竜(アリゲーターっぽい)もある。人魚の耳をなめている?右は スカートをはいているから女の子?竜を素手でつかんでいる。 何か意味があるのか?
   
こういう顔などを見ると、この教会は 11,2世紀というがそれ以前にもあって(あるいはここでなくても近隣に)そのピースを飾っているのではないか、と思われるのだが、どうなのだろう。  
  
  
   
   
   
柱は特に柱頭というほどのものもなくアーチにつながっているが、 
こういう彫刻をみつけた。蛇? 
 
 昔の柱?   
 
 クリプト 洗礼盤  ピウス二世が洗礼を受けた
  
 
 
 

corsaさんのブログをコピーしてきているので、それを参考に彫刻を探す。組みひも模様がなかなかみつからなかったが、一緒に行ったkさんがみつけてくださった。(上写真)内陣障壁ともいうべき部分の壁に嵌め込まれていた。由来は? 組みひもはランゴバルドかな?円の中心からひげのようにでているのは?これと同じものが 祭壇の上の家型にもあるし、扉口にもある。太陽?太陽崇拝の名残か、などと考えた。家に帰って、柳宗玄著作集3 を開いてみたら、ゴッドランド島のゲルマンの石碑が紹介されている。ここではこれを螺旋文とよび太陽を表すとあった。 
外に出て外壁をみようと横にまわってみると(低くロープは張られていたのだが)、南にも扉口があり、そこの彫刻がまたかわいらしい
西日が強くて写真がうまく撮れていないのですが。

 
 南扉口
 
上部 楣石部分拡大 corsaさんのブログの説明によると 三人のマギ 
 
 真ん中は 赤子のイエス様、上に牡牛とロバが 覗き込んでいるように見える、 ということは 右はマリア様?
左は間に犬?ではなくて羊?とみるべきか。とすると二人の羊飼い。
手をあげているのは 徴の星をゆびさしているのであろうか、摩耗していて 判別しがたいが面白い
   
   

正面前の少し開けたところには栃の木がある。Kさんは栗の実に似た栃の実をいくつも拾っていらした。おりから陽が沈むところ。他にはに誰もいない静かな木立の中の教会、二人でそれぞれ感慨にふけった。

 
 教会 北側

帰り、今度はもう少し直に上っていくルートをとる。この方が近道だった。すぐに旧市街の門に着いた。

 
 ムレッロ門

メインのロッセリーニ通りを歩いて行くと、チーズ屋さんに見慣れた顔顔、添乗員さんもいらした。そこで彼に手伝ってもらいながら ペコリーノチーズ約500グラムを半分にわけて、真空パックにしてもらった。(1キロが14ユーロ。重さが心配なので500にしたが、帰ってやはり1キロかっておくべきだった、と後悔) ほかに、ペコリーノチーズに合うという栗のはちみつ、と チョコを買った。
ここで もう5時半、朝素敵なお店をみて あとで行こうと思ったことをすっかり忘れて、お部屋に戻りシャワーをあびた。
今写真をみながら、ショッピングをつづけなかったことを残念に思っている。

1930分 ホテル内レストランでお食事。ホテルはすてきだけれど、お食事はさほどでも、 

スープはリポリータ という、グリーンの野菜スープでお豆も入っている。おいしいとおっしゃる方もいらしたが、味が薄すぎ。何人かでボトルでとって分けあって飲んだワインは美味しかった。(1本39ユーロ、翌日、食堂の棚にあったので買いたいときいてみたが、売らないとのことだった) 

   
   
   
   

2115分ごろお部屋に戻る、バタンキュー 午前1時半ごろ目が覚め、2時ごろ起き出して スーツケース整理。