8日目 

そのU

〜リエバナ〜ポテス〜レオン



ポテスをすぎて 少し山の中へ

1130分 サント・トリビオ・デ・リエバナ修道院 Monastery de Santo Toribio de Liebana

6世紀半ば僧トゥリビウスが5人の仲間と設立。8世紀半ばにアストリアの聖トゥリビウスの聖遺物と彼がエルサレムから持ってきた聖なる十字架の一部がこの修道院にもたらされた。
この聖十字架776年に僧ベアトゥスが黙示録注解をかいたことで、この修道院は非常に有名。スペインでもっとも古いベネディクト修道院で、現在はフランシスコ派の修道院だそうだ。9年前はこの横を通過しただけだったので なおのこと来たかったところだ。
ただ超有名であるためか、山奥の僧院にしてはとても立派。ロマネスクファンとしては ちょっと、、、というところだ。多くの巡礼客を集めているのだろう。

 
 
 
回廊、壁にはベアトゥス本のコピーが飾られていた 

回廊(17世紀)をみて教会に入る。
教会は1256年に建設が始まったゴシックだが、これ以前にロマネスク、プレロマネスクの教会があった。

奥の祭壇に『聖なる十字架』が飾られている。輝かしいお飾りを眺めているところへ司祭様(多分)がいらして聖なる十字架をとりだし、一人一人 接吻するように言う。接吻した後一回ずつ濡らしたガーゼみたなのでふいてくださっていらしたが、私は口を近づけただけ。

   
下の窓に見えるのが  聖なる十字架
この下の土台の部分にさしこんであるようで、
長い十字架をとりだして接吻させてくださる
、十字架の下の膨らんで見えるところのすぐ下の部分を右に拡大
 上の小窓の中に茶色く見えるのが 磔刑に使われた十字架のかけら
十字架の左腕の一部分だそうだ

こういうことは信じてもいないのだから遠慮すべきとは思ったが雰囲気で順番に並んでしまったのだ。単に真似事と思っていたが、口を近づけたときには我ながら不覚にも戦慄が走った。信じていないとはいえやはり畏れ多い気持ちになるものだ。2ユーロお布施。要求されたわけではない、すべきと思ったから。

教会内をざざっとみる。

   
   洗礼盤の奥はロマネスクの窓(暗いところなので色がおかしくなった)
  
  聖トリビオ
 
 

ショップへ 黙示録写本の絵葉書セットを買った。
当時キリストの養子論というのがありベアトゥスは、それを反駁し正当なキリスト教について述べようと書いたのが黙示録注解書。
西ゴート時代最初はキリスト教でもアリウス派であったのをカソリックに宗旨替えをしたという歴史があるためかスペインでは異端的見解はずっとあったのだが、それを黙示録注解をかくことにとってベアトゥスはアンチクリストを攻撃したのだ。

<典礼上の必要にもまして、世界の終末の真実をより迫真的に示すものとして支持され、後々まで転写されることになるのである。>(名画への旅、3 、太陽をまとう女と龍、安發和彰、から)。
また当時のスペインはイスラム教徒が攻め込んできていたことからも終末観は現状にあっていたのである。

リエバナで表された注解書は失われ、最初から挿絵入りだったかどうかは分からないが、この書はいろいろな修道院で書き写され、挿絵もつけられた。(先に行ったオスマではオスマ写本というのがあったように、その修道院のあった場所や現在所蔵している場所の名をつけて区別されている

その挿絵が色鮮やかで当時の人がどう思ったかは別として、信仰なき現代人はとても楽しく眺められる。
さらにロマネスクの教会の入口によくある 黙示録のキリスト 場面の彫刻もこれらの写本をもとにつくられた、といわれている。
悪魔とか怪物の壁画や彫刻もこれに由来するところがあるのだろう。そのベアトゥス本発祥の地なので、ゴシックの大修道院であっても一応は来てみたかったわけなのだ。

絵葉書は セットになっているものに少しプラスして40枚ほど買った。 そのうちの4枚を載せる。(どういう場面か絵解きをするのも楽しいのだが おかしなことをかいてしまうといけないので写真だけ載せる。
ベアトゥス本は 西ゴート美術にイスラム美術が加味されたモサラベ美術であるので おなじみ 馬蹄形アーチが見られる。さらにケルト的要素もある。
まず目につくのが 色彩の強烈さ地色の帯状塗り分け
様式化された人物。この写真では ちょっとはっきりしないが大きく見開いた目。 衣の様式化。 先日見たキンターニャ・デ・ラス・ビーニャスの彫刻を思い出させられる。

   
   
   
こういう (ペルシャ由来の)怪獣を見ると、ロマネスクの彫刻家もこういうものを見て 彫ったのかな、と思う。  

1220分〜1225分バス

ポテスへ(標高291メートル) 30分散策

添乗員さんは希望者と一緒に町を散策、私は買い物。名物のアンチョビや、蜂蜜 鹿肉ペーストの缶詰などを買う。郵便局で切手も買った。(今回は切手を買うのに苦労してやっと旅の終わるころになって買えた。旅行会社によっては切手サービスがあるがこの会社にそのサービスはない)

 
  カエタノ橋
 
 左がインファンダード塔(メンドーサ家が15世紀に建てた城)

135分〜1410分 昼食 Valdecoro

野菜煮込み 仔牛のカツレツ、フライドポテト添え カスタード(カスタードは 写真撮り忘れ)

     
     

1410分出発

 
 牧草地もある
 
 (バスからで ななめになったのを修正したが カットすると景色が切れてしまうのでそのままにしてある)

山間の道を進みます。気持ちのいい川沿いの道。(ミシュランの地図ではグリーンになっている景勝ルート) そのうち湖が見えてきた。

 
 エスラ川
 
 リアーニョ貯水池

1535分〜1550分 リアーニョでトイレストップ。景勝地なので時間は少し長め。 
山の中の湖のそばでゆっくり写真を撮り、散策。

 
 
 
 
 
 

また絶景の道を行く。

 
 
 
 

1730 レオン、ホテル・トリップレオン着

このホテルは今夏の旅行中一番よくないホテルだった。広さはあるが、石鹸もシャンプーもない。向きは裏側でまわりのマンションに見下ろされている感じ(しかしホテルの玄関側よりこちら側の方が広いらしい)。最大の欠点は観光スポットに遠すぎること。四ツ星らしいがお部屋も三ツ星クラス

18時15分〜40分 
近くにスーパーがある、というので行ってみる。
5分くらいで大きなショッピングセンターに着いたが(レオンプラザのメルカド)スーパーはその一番奥で結果的にかなり歩くことになった。
全体をみてワインを一本買ったが袋に入れてくれなかった。スペイン語で袋のことを何ていうかしらなかったので、恥ずかしいがむき出しのまま抱えて帰った。少し小雨が降ってきた。 

2030分〜夕食

ニンニクスープ(写真撮り忘れ) 舌平目のフライ、焼きトマトレモン添え 
デザートはプリンだったが お昼とおなじなのでフルーツにかえてもらったそうだ。 ワイン付き
 

   
 下平目のフライ  
   
   泊まったお部屋

23時45分ごろ 就寝