シェール川だと思う。このあたりは 『グラン・モーヌ』(アラン・フルニエ作)の世界だと、ワクワクしながら窓外を眺めた。
ブリネイ サントル・ヴァル・ド・ロワール、 シェール県
小ぬか雨の中、バスをおりて少しだけ歩いた。
ブリネイ サン・テニャン教会 Église
Saint—Aignan de Brinay
11世紀に建てられ、壁画は12世紀に描かれている。↓教会変遷図
身廊、奥に内陣
奥の方形の内陣に壁画が残っている。褪色はしているが、後世の手は殆どはいっていない。
キリストの幼児伝のほぼ全体と公生涯のいくつかの説話が北、東、南壁に描かれている。背景は緑(青みがかった)黄土、赤褐色、白で帯状に塗り分けられている。
北壁、褪色、剥落、窓を大きくあけられたために だいぶん損なわれてはいるが、
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↑上写真の右につながる |
上段左から 受胎告知(ガブリエルが半分消えている)ご訪問、降誕、(写真下へ)羊飼いへのお告げ、三博士の到着
下段左からヘロデ王の前の三博士、三博士の礼拝(消えている)(下写真)三博士の帰国
東壁 上段 ヘロデの命令 (窓を挟んで左から右へ) 嬰児虐殺
下段 神殿奉献 ヨゼフへのお告げ エジプトへの逃避
この 北壁から東壁への壁画の流れについて
<三博士の礼拝に続いて神殿奉献が上段の嬰児虐殺より先に眺められる方がふさわしい。内容から嬰児虐殺と対をなす場面は下段のエジプト逃避である。ブリネーの画家が意図的に祭壇に近い位置に奉献の場面を描き、この挿話を将来の「受難」の予告、としての神に対する供儀とみなしたとすれば、イエス一人のみは虐殺された嬰児たちの悲運から一時的に逃れたことの根拠が明確になる。このように考えると 東壁の三説話の全体が、同時に眺められるものとして統一的な意味を持ってくる>と 『天使の舞いおりるところ』 辻佐保子著 には説明されている。
南壁 上段洗礼 カナの婚礼 下段 偶像の転落 悪魔の誘惑 (下写真)天使とキリスト
西壁 上段両脇に預言者 射手、矢を抜く人 下段 司教(と聖人たち)
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ヨセフへのお告げ、 エジプト逃避 |
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↑悪魔の誘惑 石をパンに変える
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天使とキリスト きれいな絵でとても気にいった。 |
身廊と内陣の境のアーチの厚みの部分に月歴が描かれている。
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南壁の偶像の転落
聖家族がエジプトの カピトール神殿に入ると
異教神の像が 一斉に台座から転落した
という聖書が移転の話に基づいている。 |
っブリネイの壁画は先ほどのヴィックとは打って変わって優しい感じの絵である。
35分ほどバス移動 ヴィエルゾンで昼食
ヴィエルゾンの駅前。
この駅は 『グラン・モーヌ』に出てくる。小説の時代と駅舎は違うはずだが、見られて感激。先ほどのブリネイあたりもグラン・モーヌがさまよった場所かもしれない。
昼食は 13:50~ Les
petits Plats de Célestin 立派な建物で一見格式が高そうに見えたが、地元の人で賑わっていた。
野菜サラダ、 白身魚オーブン焼き、 デザート
突き出しにここでも リエットが出てきた。ここでもワインは添乗員さんがお店の人と相談してボトルで頼んでわけあった。ここお料理もワインも非常に美味しかった。大満足。
ソローニュの森はこの地図全体を覆っている。もう少し南のブールジュまで。湖沼が点在する。貴族たちが狩猟 楽しんだところでもあり、有名な古城もいくつかある。
アラン・フルニエの生家はブールジュの南東。小説の舞台はそこかどうか分からないが、そこからモーヌは馬車でヴィエルゾンの駅に向かう。途中道がわからなくなって森の中の城館に迷い込む。そこで美しい女性に出会う。彼女にもう一度会いたいと思うがどうしてもそこへたどり着けない。
モーヌの面影を求め靄に包まれた幻想的な森の景色を見ようと窓外に目をこらす。
1時間くらいバスに乗ってサンテニャンSant Aignanへ。
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