4日目 そのU

モントワール




1100に教会を出る。バスでモントワールに向かう。地図で見ると直ぐ近くだが大型バスでは行けないのかかなり大回りした。まずお手洗い。公園の公衆トイレで一つしかなくて、それも一人ずつ全体を洗うタイプで結構時間がかかった。

モントワール・シュル・ル・ロワール Montoire sur le Loir(ロワール川ではない)

町の起源は9世紀にシャルル2世禿頭王がノルマン人の侵入から守るために城塞を築いたことに始まる。中世にはサンチャゴへの巡礼路として栄えた多くの教会や巡礼宿ができた。
左岸が最初にできた町。 右岸の駐車場から少し歩く。

 バスを停めたそば。 

 

先ほどの村よりずっと大きい町。 配られた資料によると人口3800人。ちなみにラヴァルダンは195人、この後行く サン・ジャック・デ・ゲレは90人(いずれもいつの年かは書かれていなかったが)

インフォーメーション辺り、ちらりと見えたのが1427年に建てられたオーギュスタン修道会の建物。フレスコ画がみられるようだ。(私たちの目的の教会ではない)

   

角のブラッスリー

 

まっすぐ行くとル・ロワール川 美しい眺めにうっとり。

 
 
 
 
 

向こうに城塞、端をわたってほんの少し行き右側の細い道を入ってしばらく行くと目的の教会。塀の上に屋根が見える。

 

聖ジル礼拝堂
 Chapelle Saint Gilles
12:30〜 1305
http://www.art-roman.net/montoire/montoire1.htm

平面図、 わかりにくいのでグーグルマップからとった写真ものせておく。

   

教会の起源は6世紀ないし7世紀、トゥールのサンマルタン詣での立ち寄り場所だったが、9世紀ノルマン人の進攻で破壊された。11世紀末に再建、聖カレ修道院に帰属。サンチャゴへの巡礼者が多く立ち寄って賑わった。この教会は現在、後陣と翼廊のみ残っている。詩人の ピエール・ローランサンが1566年〜1585年に「住んでいたことでも知られている。しかし18世紀末にはうち捨てられてしまった。1840年に壁画発見。これを見るのが目的。

まずアプシスの持ち送り彫刻を見る。

 
 北側翼廊とアプシス
     
     
     
     
     
        
身廊部分は 南壁と西壁だけ残っている。
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 北側と西側 ル・ロワール川の水嵩がふえ、1.2mかさあげされたので、教会堂は低い位置になっている。
 

55 西側壁 身廊部分は草地、残った南壁、身廊部分を近代になって壁で塞いだ。

   
   左写真のアーチをくぐると、この草地が身廊だったところ  

中に入る。平面図からすると当初からラテン十字であるが、左右の翼廊の外側は直線だが内部は半円になっていて、ケルンで観たような三つ葉型とも見える。

入ると中央ドームの奥と左右のチャペルのコンク(四分の一球形の壁面)に栄光のキリストが描かれている。壁画は1840年に漆喰の下からみつかった。

 

なぜこの小さな礼拝堂に同じキリストでもテーマが違った絵が三つも描かれている。なぜなのか、図像学的な解明はこころみられているが、下部の絵が失われているので、難しいようだ。 

手前のアーチ 

 

キリストが二人の騎士に冠を授けている。騎士はそれぞれ、欲望を抑える 「貞淑CASTITAS」と怒りを突き刺す「忍耐PATIENCIA」で、善と悪の葛藤を表している。

中央アプシス はっきりさせるためにフォトショップをつかったことと、デジカメとスマホの写真がまざっているので色調が少し違っているが茶系で描かれた絵は優しい感じがした。

 

虹を表す二重の身光(double gloire)の中にゆったり座るキリスト。左手には聖書を持っている。ビザンティンでいうならばパントクラトール だが厳めしさはない。穏やかで品位があって、とてもいいと思った。

 
 
 
 
 

周りで踊っているかのように翻る天使の羽と衣が特に魅力的。セラフィム

   
   PATIENCIA の足元には血の滴る肉塊がやりで貫かれている。

一般的にビザンティン系が青地であるのに対してフランス西部では壁画の地色は白または淡黄色であるがこの礼拝堂では南と北の礼拝室では青地背景になっている。

南袖廊のアーチに 魚が二匹

 

南袖廊 12世紀末に描かれている。もらったパンフレットによるとこのスタイルは 鍵の授与 だそうだ。

 
 
 
 
 

北袖廊 波形で飾られたマンドルラの中に座すキリスト、その左手からは網上のものが発せられ、ニンブスを付けた6人の上に流れている。こういうシーンは12世紀ではペンテコステ(精霊降臨)を表している。

 
 
 
北入口アーチ 
 

磔刑像 時代は分からない。何もない部屋の壁にこれだけかけられていると、ここは祈りの場であったことを深く意識させられる。

 

教会を出てまた川を渡って街の方へ 昼食 L’escale Montoirienne

スモークサーモン、メルルーサ、チーズ(ブリ、モー、サンネクテール)フランボワーズーケーキ
ワインは トゥレーヌのソーヴィニョン・ブラン 

   
   
 

どれも美味しかった。いろいろ写真撮り忘れ

15分バス移動 バスをおりて小雨の中少し歩く。
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