
4日目
8月5日 ウイットビー

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5時前に眼がさめる。窓からみると、海からのぼる朝日の眺めの素晴らしいこと。
一時間半ばかり散歩。
灯台の先端まで行ってみる。北海を眺めているのだと、感激。

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ところで、ウイットビーってどんな町?
キーワードをあげるとしたら、 教会会議、 ドラキュラ、 キャプテン・クック、 ジェット
教会会議 664年 当時イギリス北部はアイルランドからきた修道士達によってキリスト教化されていた。
ところが、ローマがわも6世紀末には聖オーガスティンを送って、教化につとめ、ケントから北上していった。
アイルランドとローマでは典礼などが違っていたそうで、いちばん困ったのは、復活祭の日の決め方。この地の王家で、王はケルト系、お妃はケントからお嫁にきたのでローマ系、片方が復活祭前の断食中、相手は復活祭のご馳走、というので困って、このウイットビーで教会会議を開いて結局ローマ風に統一したのだそうだ。
ドラキュラ ブラム・ストーカーが、夏 スコットランドから、この地に保養に来て、崖の上のセント・メアリー・チャーチの墓地を見て、あのドラキュラ伯の物語のインスピレーションを得たそうだ。
キャプテン・クック クック海峡などを発見した人。ここで少年時代修行した。
記念館もあるが私は行かなかった。
ジェット 黒玉 ( 木の化石、石炭の一種)、ウイットビーはジェットの産地。
ビクトリア女王はアルバート公の死後、喪服を通したのでアクセサリーも黒。それで、ウイットビージェットを愛用したそうだ。
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キャプテンクック像 |
崖の上、右がセント・メアリー・チャーチ
左がウイットビー・アビー |
私にとっては?
少し前に、『祈りの階段』 ミシェル・ファイバー 著、を読んだ。
祈りの階段、と言っても宗教的な内容ではない。原題は『199階段』、
ウイットビーの廃墟の修道院に行くには、階段を上っていくのだが、それが199段あり、その階段の途中で、男女が出会う。ドラキュラの影響かちょっとホラーっぽいところもあるが好みの小説だったことと、、
映画 『抱擁』 (グウィネス・パルトロウ主演、とても良かった)に、この場所もでてきた。ウイットビージェットのブローチも謎解きの重要なキーになっていた。
ついでにいうと、この映画はブッカー賞を受賞したバイアットの作品の映画化。観たあとで、本(新潮文庫)も読み、同じ作家のマティスストーリーズも読んだがなかなか良かった。
ウイットビーに行って、199の階段を上り、ジェットのアクセサリーのひとつも求めたいもの、と来ることにしたのだ。
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朝食、イングリッシュブレックファースト 多すぎ。 |
9時15分頃
ホテルを出て下に降り、橋を渡ってアビーへ向かう。
途中ジェットのお店が沢山あり、覗いてついつい時間を取ってしまう。
『祈りの階段』を思い出しながら199の階段を上る。
ここまでで1時間半。
まず、ドラキュラのセント・メアリーチャーチへ。
奥のほうはロマネスク様式で、アイルランドで見たような、柱頭彫刻があった。 |
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写真を撮りわすれたので絵葉書、199階段 |
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この墓地を見て、ブラム・ストーカーは
吸血鬼ドラキュラの着想を得た
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教会内部 柱頭彫刻が面白い |
15世紀の洗礼盤 |
内陣の天井 |
それから、アビーへ、ずいぶん大きな教会だったようだ。ゴシック。身廊が、とても長い。
海に向かって建つ廃墟は異様だ。
しかし、私には廃墟よりちゃんと天井などもついているほうがいい。
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おいてあった、日本語版説明書 |
セント・メアリーチャーチより、
こちらの方がホラーっぽい
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よく見ると、凝った作りだった
ことが分かる |
ところで、『祈りの階段』に出てくる女主人公は、ボランテイアらしいのだが、このアビーの修復をしていることになっている。ということはもう少し前はもっとひどい廃墟だったのだろうか?
12時ころ、見終わって、ジェットの、ピアスとペンダントを、買って駅へ。
12時45分発(実際は、1時近く、)の、ヨーク行きバスで、ピッカリングへ、
これが、大正解。途中の景色の素晴らしさ。一面のヒース。藤色、赤紫が混ざった絨毯のよう。
遠くの丘も藤色に煙って、夢のよう。
ピッカリングは、ウイットビーより大きな町で、お店もたくさんある。カフェテリヤで、紅茶とヨークシャキドニーパイでお昼。(1.45ポンド,安い)
することもないので、キャスルまで行ってみる。ひどい廃墟。よくこういうものを大事にするな、と感心してしまう。
何ポンドだったか、ちゃんと入場料は取る。
私には、面白くない。 お城にまつわる物語でも知っていれば、もう少し興味深く見られたのに、と思う。
ピクニックの家族連れが多かった。
3時半ころのバスでウイットビーに戻る。また。ジェットをふたつ買う。(ピアスとネクタイピン)
6時 ホテルに戻る。(駅から、40分くらい歩く)
駅からの上り坂がきつい。
駅に近い方は、お店。上がっていくと住宅地。
そこから、海の方に向かうと、ペンション、というか民宿というか、宿屋が多くなってくるが、どこも空き室無しの札がさがっている。
私の泊まったところもホテルと名がついてはいるが、ペンション。
このノースプ・ロムナード沿いは全てペンション。プロムナードの一番ピアに近いところには、大型のホテルがあった。
しかし、そちらは人が多いせいか、紙くずなどが散らかっていて汚かった。
夕食は、白ワイン、ジュース(オードブルのところを見たらジュースがあったので助かった。残しすぎは恥ずかしいので)、ひらめのソテー。付け合わせのポテトグラタンがとても おいしかった。
夜のうちに、支払いをすませ、タクシーを、7時に頼む。
このホテルは部屋が狭いにもかかわらず、ダラムより高かったが、(レストランが自慢らしく、食事代が高かったこともあるが、二泊でほぼ200ポンド)空き室無しの札で納得。
こんな冷たい海で、と気の毒になるが、サマーリゾートなのだ。
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