2日目

そのⅡ リヴォルタ・ダッダ~トリノ



16時過ぎ 教会を出て、1613分バスでリヴォルタ・ダッダに向かう。
リヴォルタ・ダッダは ミラノの東の町。230分ほどバスに乗って、少し町中を歩いて
1645分ごろサン・シジスモンド教会に到着。S. Sigismondo Rivolta d'Adda
  
  サン・シジスモンド教会
 
 平面図、左に鐘塔
レンガ造りだが、そのレンガの貼り方も杉綾みたいで面白い。
この杉綾のことを〈オプス・スピカートゥム(麦穂式)という。
古代ローマで時代に用いられた積み方で・・・・ ロマネスク建築ではごく初期のものにのみこれがみられ、前代の伝統の残存とみていい〉と柳宗玄氏は書いている。

この教会も翼廊がないタイプ。
平面図の下の方から見ていき、ぐるっと回って上の入り口からはいる。 
入り口にポーチが(ずっと下の方の写真の赤レンガが貼られているところ)つけられているが
これは新しい。

この教会の後陣も小アーケードでとり囲まれているが、これは飾りで人が歩くことはできない。
軒下はおなじみ 
ロンバルディア・アーチで飾られている。

  
   
 鐘塔の上部がお城のよう  杉綾のように張られたレンガ、 アーチ内に鳥(孔雀?)の彫刻



教会は 12世紀前半に建てられた。中に入って扉口を振りかえる。アーチ部分は 組紐文で飾られている。

 
 楣の中央に 神の手
 
下 中央は フクロウ のようだ

内部の鮮やかな彩色に目を奪われるがどの柱頭も面白い彫刻が施されている。

   
三匹の猿? 右に少し見えているのは二股人魚  同じモチーフが 外部入り口わきにもある

動物、 二股人魚、 唐草、 組紐 月々の仕事の一つか、猪?屠殺場面、まるで 空間恐怖のごとくびっしり彫刻されているが、 少々雑多な感がしなくもない。内部を見たあと入り口を見たのだが、オリジナルのいくつかは入り口の柱頭にあるので それも合わせて載せる。シジスモンドという人はケルト系スイス人だそうだ。結び目、というのは 人の手が加わって永遠になる、と説明された。

   
   中世のフレスコ画(オリジナル)

神の子羊の十字架に組紐紋、横のライオンの意味が分からない。強いものの象徴だろう。その上の鳥は カラスみたいだが、入り口のところのフクロウと同じなのかもしれない。フクロウはギリシャでは ミネルバ 知恵の女神だ。
フクロウは闇に隠れ光を恐れるところから、サタンのシンボルであるが、また一方人類を救うために自らを犠牲にしたキリストのアトリビュートともされている
。ここでは もちろん後者の意味だろう。
十字架の中の組紐文、組紐文が何故使われたか、どのような宗教的象徴的意味を持つのかは、 まだ 解明されていないようだが(このあたりは 柳宗玄著作選1による)無限連続的なものを表わそうという意図は うかがわれるし、組紐文のある場所に彫られている別なものから、 神の救いといった意味を持つものとも解されるらしい。(組紐については コモの終わりのところで 簡単にまとめた)

   
西正面 全体がとれるほど十分下がることができなかった 軒下のアーチが交差している。柱上部にそれぞれ福音書記者  
       
 牛(ルカ)  ライオン(マルコ)  人(マタイ)  鷲(ヨハネ)

ろいろ知りたいのだが、教会案内のパンフレットはおろか絵葉書すら売っていない。どうやら見学者がくることは想定されていないらしい。でも かなり前のカルチャーセンターの講座で この教会はミラノのサンタンブロージオ教会 の応用編として簡単に取り上げられた。研究者にとっては 注目に値する教会ではあるのだ。
外に出て広場を眺める。ちょっと寂しい。ローディより小さな町 街並みからいってもとても裕福そうにはみえないのに、なぜこんな素晴らしい教会があるのかと思って山岸さんいきいてみると、「この町はクレモナ付近でポー川に合流するアッダ川に面していて、アドリア海からの荷はここで川から荷揚げされてミラノに運ばれた。そういう河川交通で栄えた町だった」のだそうだ。昔は裕福な町だったのだ。 

バスで今夜の宿泊地トリノに向かう。途中車窓から水田が見えた。ポー川流域では稲作がおこなわれているのだ。
 
 
渋滞にはまったが、殆んどずっと寝ていて気にはならなかった。
2110分頃やっと トリノのホテル NHリグレに到着。 
時間が遅いのでそのままレストランに直行。眠くてお食事なんてとても、という気分だったがいざテーブルに着くと、しっかり目がさめて楽しく頂いた。 
まずグリッシーニがでる。これは ワインを吸わせるといい、と実験された方がいらした。

ラグーソースのタリオリーニ、 チキンの野菜チーズ焼き ビチェリン
   
   
   
  ビチェリン 

白のグラスワインは3ユーロ(昼の方が美味しかった、お値段相応というところか)
ビチェリンはトリノ名物。本当は時間が早ければ外でいただくことになっていたらしいが、遅くなったので夕食のメニューにはいってしまった。
これは 上が生クリーム、その下がコーヒー、一番下は チョコレート。 
 
泊まったお部屋 


聞くとなんだか、エエーッという感じだが、冷たい生クリームをすくい、飲むと生ぬるいコーヒー、ついで 甘いチョコレート。
私は美味しいと思った。
トリノという町は それまで飲むものだったチョコレートを初めて板チョコとして食べるものにした町だそうだ。


お部屋は 普通。洗面台にカウンターがあるのがいい。
カメラ、携帯に充電、入浴 洗濯をして015分頃やすむ。
疲れた。
 

6692歩 
今日見た教会は三つとも石造天井、そして 翼廊のないバジリカだった。