9日目

6月11日

 メラーノ滞在(南チロルの教会巡り)

メラーノ~マッレス~トゥーブル~ナトゥルノ~チロル~ラグンド~メラーノ



5時起床

7時15分~40分 朝食 フルーツがたくさん。オレンジが山もりの鉢の横にジユース絞りがあり各自絞って飲むことができた。

   
   
     

メラーノはヨーロッパの王侯貴族の保養地で、川沿いに気持ちのよい散歩道がいくつかある。 
時間があまりないが、ローマ橋まで歩くことにした。この時期雪解けのせいか水量が非常に多い。

   
 泊まったホテル  クアハウス
 
 パッシリオ川沿いに歩いている ポスタ橋
   
 上の橋の向こう にサン・スピリト教会  
   
 ものすごい水量  
   
 パッシリオ橋  ローマ橋
   
 ローマ橋 反対側から  
 
 
 
パッシリオ 川沿いの気持ちのよい散歩道、 もっとゆっくり歩きたかった

8時30分 出発
今日、明日はの現地ガイドは沢山さん、という日本人女性。ボルツアーノ在住でただ一人の日本人ガイドだそうだ。お嬢さんにみえたが現地人と結婚なさっているそうでやはり山岳ガイドだ。(イタリア語通訳)

バスの中の話 
この南チロルは 年間
300日以上晴れている。世界一大きいスキー場、600キロメートルの自転車道がある、扇状地が多い。80%が山。
BC15年 ローマ人がこの地を征服
その後ゲルマン人が侵入し、その避難民のラディン人などがきた。
チロル伯マインハルト二世の娘マルガリータが
1363に亡くなったあと ハプスブルグ家の領有するところとなった。
住民の
70%がドイツ語、25%がイタリア語、5%がラディン語(スイスで使われているロマンシュ語の一種)を話す。 
1919年にイタリア領となった。少数民族保護のため他のイタリア自治区より幅広い自治権を持つそうだ。
リンゴは国内生産のうち
50%をこの地で産する。 また水力発電もされる。就業率が高い

そういう話を聞いているうちに 

955分 マッレス到着(標高1,051m) 少し歩いて サン・ベネディクト教会へ、9世紀の壁画が残る教会である。

St. Benedikt Kirche in Mals im Vinschgau Südtirol (拝観時間程度で 内部写真などはない) 
   
 サン・ベネディクト教会 西側 南側
   
 もとは 棺桶?  右手が東側だが アプシスが突出していない

昨日行ったミュスタイアの修道院に属する教会だった。
10時 戸が開く。ここは残念なことに写真撮影禁止。
表で待っている写真か察せられるようにとても小さな教会。木造天井で一身廊というか 単に長方形の部屋。
入ってみて 変わっていると思ったのは東正面。普通外に半円形にとびだして祭室がつくられるところを、ここはそれをまねたように三つ、馬蹄形ニッチが穿たれている。

それぞれ ストゥッコの組紐文で枠取りされた中にフレスコ画が描かれている。 中央は天使に挟まれたキリスト。 
左には聖グレゴリウス 右には 聖ステファン。ニッチとニッチのあいだには四角い枠取りのなかに、寄進者ではないかと考えられている人物像

写真撮影が 禁止なので、 買ってきた小冊子と絵はがきの写真を載せる。
   
 馬蹄形に穿たれたニッチにフレスコ画  左写真の 一番左

寄進者は聖人でないからか方形のニンブスをつけている。左の人は剣を持ち、右の人は教会を持っている。この寄進者像はニッチの中の人物などとは描き方が違っていて、とても写実的。
(描き手が違うしスタイルも違うと思う) 肖像画というのはローマ時代にはあったがこの時代では珍しく、カロリング朝美術を代表する傑作だそうだ。ともかくこの騎士はすてきだ。今回気に行った絵の一つ。美術全集を見ていたら、ゴデスカルクの典礼書(シャルルマーニュ(カール)宮廷派)の中の聖ルカにこの騎士がよく似ていた。
  

左側(北側)の壁にも壁画が残っている。説教を執筆する聖グレゴリウス一世。などこれも寄進者像と描き手は同じようだ

     
  弟子との論争  パウロと弟子が鞭うたれている

面白いのはストゥッコの柱に人の顔。この組紐文の柱は各ニッチにあったらしい。それからストゥッコの祭壇障壁もあったのだが、それらはボルツァーノの博物館にあるそうだ。ボルツァーノには行かない。残念。

写真が撮れない、ということは見ることに専念できていいのだが、すでに大分忘れている。

955分 教会を出てバスでトゥーブルへ向かう

1055分 トゥーブル(標高554m) 聖ジョヴァンニ教会

Taufers im Münstertal eine lange Geschichte prägen Bauten und Landschaft

もともと9世紀の教会だったが1314世紀に再建、増改築。

まず外回り、北側の壁に聖クリストフォロスの絵 1220年~30年頃の作でチロル地方では最も古いもののひとつだそうだ。

   
 聖ジョバンニ教会  聖クリストフォロス
イエスを肩の上に乗せるのではなく
抱いている

入ると前室、ここは多分1300年から巡礼の会合に使われていた。聖ジョヴァンニ、つまり聖ヨハネという名前からも察せられるがここはヨハネ騎士団のホスピスで、あとで行く二階部分は宿泊所だった。

奥へ行くと教会部分(ここはギリシャ十字形)だ。最初の部屋にヨハネ騎士団の騎士の墓石がおいてあった。

   
   

奥の祭室部分に1220年~30年に描かれたフレスコ画がある。青の地色はきれいだが、点々と剝落している。見にくくていい加減にしか見なかったが、今写真を見ると素人の私の感想として ロマネスク~ゴシックの感じでなかなかいい絵ではないかと思った。はっきりしないのが残念だ。

奥 一番下は剝落。下から二段目はイエスの洗礼 (洗礼者ヨハネは顔がうっすら) 
沢山の天使がいるのが、この教会の洗礼場面の特徴

その上は12使徒のうちの6人、白い紙のようなものを持っているが白紙。当時の人は字が読めなかったからともとれるが、下のマリア様のところの紙には字が書いてあるので、これは未完ではないかと言われている。
その上はモーゼが十戒の二つの石板を示しているところ、
まわりにいるのはユダヤ人。皆ヘルメットのようなものをかぶっているがこれは1215年の第四ラテラノ公会議で決められたもの。

 
 上左 ヘルメットのような帽子に着目
下段は イエスの洗礼

ドーム 中央にはマリアとヨハネのあいだにキリスト 
周りは四分割されていて四福音書記者が描かれている。

   
中央ドーム 周りは四分割されて福音書記者 左写真中央
キリストの左右に聖母とヨハネ
   
 福音書記者(ルカ)が 弟子にかきとらせている  弧帯に描かれたマリア様

そのあと二階にあがる。
少しだけロマネスクが残っているが殆んどゴシック。ロマネスクのものとして、男がシャベルで 石灰をまぜてモルタルをつくっているところと写真を撮り忘れたが、筆を持つ手も描かれていた。画家の仕事を描き添えたのであろうか。
ゴシック絵画として、目をひいたのは、下の部屋のアーチになっている部分に描かれた〈ヨハネの斬首〉皿に首を受けている兵士が笑っているように見えるのが、どうもね。

   
   

それから聖カテリーナ。

   
 ヨハネの斬首 (ここは聖ヨハネ騎士団のホスピス)  聖カテリーナ
 
 北壁のゴシック時代の壁画

聖ウルスラと豪華なきものを着た乙女たち、などの壁画をみる。

 
 東、 南壁 聖ウルスラと乙女たち 
それからクリプタにおりる。 ここも巡礼の宿泊所ないしは 救護所だった。 壁画などはなく、近隣の教会の案内写真があった。

12時ごろ教会を出て、バスで 昼食レストランへ

 
 駐車場からの眺め 
   
白い建物が モンテ・マリア大修道院   この壁画が見たかった
(修道院のホームページから)

途中モンテ・マリア大修道院Monastery Marienberg Burgeis Obervinschgauを遠望。Benediktinerstift Marienberg

ここにはとても優美な天使が描かれたフレスコ画がある。
(辻佐保子著 『天使の舞いおりるところ』の表紙絵)すぐそばを通っているのに行けなくてとても残念。ホームページからだと多分夕方5時30分からの晩祷に連なることによっていしか見られなさそうだ。グループで観光は無理かな?

13時 ナトゥルノのレストラン GOLDENE ROSE
ハムとチーズの盛り合わせ ほうれん草のラビオリ、チェリーアイス 
チロル城への徒歩があるのでワインはやめて紅茶(1
.3ユーロ)にする。

   
   ハムとチーズの盛り合わせ(各自取り分ける)
   
 ラビオリ (これはひとり分  

このツアーで新潮社の雑誌『旅』の今月号が南チロル特集、ということで話題になっていた。帰って早速図書館でみてみた。ナトゥルノのお薦めレストランにこのGOLDENE ROSEが載っていて同じメニューが出ていた。ときどきカルチャーで講座を持たれる金沢百枝さんが案内人。同じ教会をめぐっているので以下この雑誌の記事も参考にした。

そのⅡに続く