9日目 

そのⅡ 
聖プロコロ教会


1410分 聖プロコロ教会 Museum und Kirche Prokulus in Naturns Südtirol Italien 創建は 7世紀

教会はナトゥルノの村(標高554m)はずれのリンゴ畑の中にある。白いリンゴの花が咲いていた。
村の小さな教会で形もなかなか可愛らしい。

 
 聖プロコロ教会

教会南側外壁にフレスコ画がある。上下二段で、上の方がひさしの陰になっているせいかよく残っている。
1400年頃描かれたもの。創世記からとられた絵である。

1天と地を分かつ神 2太陽と月の創造  植物と魚 4鳥と陸の動物

   
   

5アダムの脇腹からエヴァを造る 6堕落 エヴァがリンゴを採りアダムに渡す。7神の休息

 
 
下の段ははっきりしないが車輪がみえている大きい絵は、アダムが耕しエヴァが紡ぐ 図、その横にいるのは司教姿の聖プロコロ。(写真はあまりにもうっすらなので省略)

中に入る。正面にアーチ 初期中世(8世紀末から9世紀初)天使を描いたフレスコ画、その上は1400年頃のゴシックのフレスコ画 その奥に磔刑のキリスト(14世紀) 

 
 東側
   
 上写真 天使部分拡大  上写真の左側
宗玄著作選3によると この天使の姿は他に類のないものであるが 他に例を求めるとしたらアイルランド・サクソン系の写本であろう、と書かれている。(私はアイルランド系の写本を多くみてはいないので、類似の例は今のところ見つけてはいないのだが)。上の組紐文は角がとがっていてアイルランドの写本にあるタイプだとは思う。天使の身体が蚕みたいだ。

ここでユニークな絵に出会う。ブランコ聖人と誰かが名付けたらしいが、ブランコに乗っているように見える人の絵(8世紀末)。以前、この人物はダマスカス脱出の聖ペテロだとおもわれていたが、今は聖プロコロ(もともとはヴェローナの司教だった)がヴェローナの城壁を越えて脱出するところ、ということになっている。聖プロコロ家畜の守護聖人だそうだ。ともかくこれは今回、というかこれまで見たロマネスクのユカイ絵画の筆頭だ。上は1400年頃描かれた 最後の晩餐。

 
 南側の壁
上は 1400年頃描かれた最後の晩餐  下は8~9世紀に描かれたプロコロ司教のヴェローナからの脱出
   
 ロープにぶら下がって脱出だが、 
嬉しそうにブランコにのっているように見える
 

西の壁には漫画チックな犬に率いられた12頭の牛の行列。前を行くのは剝がれていて頭部がないが、聖プロコロではないか、との説がある。

   
 先頭は 聖プロコロ? 犬と牛  右写真の 拡大
  
 
 
 北側の壁 右側の人は 手が異様に大きい
どの絵も目が 特徴的だ。
アーチにちょっと怖い天使も。
訂正 ネットサーフィン中、あるブログでこの壁画がとりあげられていて《葉っぱを言葉のように吐き出すグリーンマン》とコメントがつけられていた。 
慌てて写真をよくみると首から出ているのは 天使の羽ではない!!そこで教会
で求めた小冊子を開いてみた。 
ドイツ語なので 読み間違いもあるかもしれないが Brustbilder nimbierter Oranten ニンブスを付けた祈る上半身像、と説明され、さらに≪首の両側から植物様の渦巻き装飾が出ている》と書かれていた。 グリーンマンとは明言されてはいないが、そうみる人もいるのかもしれない。ドイツ語だからと敬遠しないで、やはり調べられる範囲で努力はすべきだった、と大いに反省(2011年2月21日)
   
   

このアーチの絵について、その後、個人でいらしたKさんが現地でお尋ねになったところ「グリーンマンです」と言われたそうです、 

2015年の同じツアーに参加された Fさんにも再度確認をお願いしたところ、今度は
天使です。首からはえているのはデザインです」 と言われたそうです???時間がなくて いそいで、聞いただけ、とFさんはおっしゃっていますから、もしかしたら、まだ解釈が確定していないのかもしれません。(2015年7月追記)



何となく楽しい気分で14時40分過ぎに教会を出る。道を隔てたお向かいに博物館があった。見る予定も時間もない。(お手洗いを借りただけ)

 
 駐車場 自転車の人のところに教会への案内板 なんと幟まで翻っている 

1455分ごろバス。
そのⅢに続く