2日目 -2


アルルに着いてタクシーをしばらく待ったが、来ないので歩き出す。
前回この町に来たときは見なかったアリスカンに行くつもりで城壁の外側を歩く。

地図を持っていたのに、道を間違えて、聞きながら、ずいぶん回り道をしてやっと辿り着いた。(14:40、1時間近くかかった!)
アリスカンで、ツアーの一行にめぐり合えるかと思ったが、会えず、他にも観光客はあまりいなかった。
ここはローマ時代からの墓地。当時は衛生などの理由から、墓地は市壁の外にもうけられており、キリスト教がローマの国教となった4世紀ごろからキリスト教徒の墓地となった。

ゆっくり歩く。道の両側に石棺が続く。石棺には装飾が全くない。
いいものはみな美術館にあるのだ。古代美術館には前回(99年)に行っているが、とても素晴らしかったので時間があれば今回も行きたいところ。
ゴッホの絵で有名なサントノラ教会鐘楼(13世紀)まで行く。

サントノラ教会

サントノラ教会

15:15ごろアリスカンを出て、ホテルに戻る。(15:45)
 途中、古代劇場の横を通った。 ここはB.C.27〜25年ころに造られたものだが、あまりちゃんとは残っていない。古代遺跡は後の時代に格好の石材提供場所となってしまっているのだ。

奥が古代劇場 劇場は修復中

お部屋に帰るとFさんはもう部屋にいらして、「私も今帰ってきたところ。アリスカンとエスパス・ヴァン・ゴッホにも行った」そうだ。
私は今回はエスパス・ヴァン・ゴッホ(ゴッホが入院していた病院,現在はカルチャースペース)に行くつもりはないので、前回のときの写真をのせておく。

エスパス・ヴァン・ゴッホ(写真は99年春のもの)

そのあと、お買い物をなさったそうで、ソレイヤード (プロヴァンス独特の赤や黄色の色鮮やかなプリントの布地があるが、そのもっとも有名な会社) を見せていただく。私も買いたかったが、旅は始まったばかり。今でなくても、とサントロフィームに行くことにした。しかし、結果的に言うとプロヴァンスみやげの買い物はやはりアルルが一番のようで、他の町ではあまり買えなかった(残念)。

ともかく回廊は6時までなので、一息ついて、いそいで行く。
このホテルは地の利がよく、教会まで数分で行ける。

16:30〜17:10 サントロフィーム教会 回廊
夕方のせいか、人は少ない。小鳥の声を聴きながら、ゆっくりみることができた。

サントロフィーム教会回廊  クリックすると別方向から見た回廊

99年に来たときは修復中で、彫刻に白い和紙がベタベタ貼ってあったが、驚いたことには、まだ紙が貼ってあるものがあった。

この回廊はカヴァイヨンより少し大きい。
(回廊の彫刻は素晴らしいのだが、中庭が日が照っていて、彫刻が柱の影なので、写真がうまく撮れなかった)
北と西がロマネスク式回廊(12世紀)
北西の柱

左から、聖ペテロ、キリストの復活、聖トロフィムス 右は聖ヨハネ(クリックで聖ヨハネ)

聖女たちと聖ヨハネ 聖女たちの下に香水売り

北東の柱

左から 聖アンデレ,上がキリストの祝福、下に聖ステファンの石打、左が聖ステファン 中央から右へ聖ステファン、キリストの昇天、聖パウロ
聖パウロ キリストの昇天

柱頭彫刻

キリストのエルサレム入城 

アルルはスペインの西端 サンチャゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路の出発地のひとつである。そのせいか、巡礼にちなむ彫刻もあった。(写真は99年のもの)といってもこれはエミール・マールの『ロマネスクの図像学』によると『エマオの巡礼』(復活したイエスがエルサレムから少し離れたエマオで、二人の弟子に会う話が聖書のルカ伝、マルコ伝にある)、

中央が無帽ではだしのキリスト、両端がエマオで出会った巡礼。巡礼は帽子を被り、パン袋を下げている

回廊の隣はちょっとした博物館になっていて、少し彫刻などがおいてあった。

人頭有翼の四足獣

この彫刻について、エミール・マールは 『ロマネスクの図像学』 (下) 国書刊行会  で、
右側の怪獣について これはギリシャ人が生み出したものではなく、彼らがアッシリア、カルデアからうけいれたもの。この怪物は幻想からうまれたものではなく、宗教的思考からである。四足獣であり、鳥であり、女であるこの生きものは、力と速さと知能を持っていて、神ではないが、 人間と超越的存在との間に介在する守護霊 である、と述べている。これがアラブの織物に取り入れられ、イスラム世界のみならず、キリスト教世界でもとりいれられるようになったのだそうだ。左の男の顔を持つ怪獣についてもエミール・マールはアッシリアの守護霊たる人間の顔をした有翼の牡牛を思い浮かべている。

ホテルに戻り、お風呂。

夕食はホテルで 

生ハムとメロンボール、(みずみずしくて美味しかった) 
3種のお魚と豆いりソース、
イチゴの赤ワインソース
やはりロマネスクツアーでもとくに凝ったツアーなので、旅の目的が同じ。
もっとも話題をさらったのは サンチャゴ巡礼路を フランスのピレネーの麓 サン・ジャン・・ピエ・ド ボーから サンチャゴ・デ・コンポステーラ、さらには フィニステーレまで 踏破なさったという Y氏のお話し。 感嘆しきり。
 この方の 巡礼記が ウェブマガジン に掲載されているので 氏の承諾を得てご紹介します。 《オリーヴ》 連載 サンティアゴ巡礼紀行
 
おしゃべりに夢中になりすぎて、写真を撮るのを忘れてしまった。

部屋に戻って、9時半ごろベッドに倒れこんで寝てしまった。