6日目

6月9日

オランジュ〜セナンク〜ルション〜サラゴン〜シャトー・アルヌー


7時30分 朝食
食後、前の広場からホテルを眺める。
私の部屋に行くのに、どうも廊下が狭すぎるし、数段の階段を上がる面白いつくりだと思ったら、隣の建物と渡り廊下でつながっていることが判明。 

aと書いてあるところがわたり廊下。
泊まった部屋は廊下を渡ったすぐ横

8時55分集合
バスの停まっているところまで5分くらい歩く。大きい荷物はホテルの車、小さいものは各自手に持って。
ここがちょっと面倒なところだが、この町もいかにも中世の町、という雰囲気でよかった。

9時9分 出発
今日はまた別のバスで、セナンクまでは昨日のガイドさん
デュランス河沿いに走る。
 デュランス河、『河は呼んでいる』 のあの川がこんなところを流れていたのだった。昔はどこにある川とも知らず、あの歌を良く歌ったものだ。今回の旅でもこの歌をつい口ずさんでしまう(他にも何人かそういう方がいらした)

石垣 最上段の石は立てることになっている


バスのなかで、ラベンダーについての話を聞く。ラベンダーは耳の後ろにつけると虫除けになる。
タンスに入れると香りもよいが、虫除けにもなっていいそうだ。

ラヴァンド(野生種) とラヴァンダン(交配種) があり、野生種は香りが強く600m以上の高地で育ち、茎がすっと伸びて、小ぶりの花が咲く。 交配種は低地でも咲き、左右枝分かれしながら伸びて、大振りの花が咲くが香りの質は落ちる。工業用として石鹸などに使われる。
値段は野生種の十分の一、ということだった。


このあたりは鷹巣村、といわれるように、高いところに町が作られている。敵の侵入を恐れてのことで、17世紀すぎて、政治的に安定してから、麓におりてくるようになったそうだ。
16世紀、ヴァルドー派がセナンクを襲ったりして修道士が殺されたこともあったという話もあった。
このあたりの家は石垣を築いて、上に石を立てるように載せる決まりになっているそうだ。
ゴルドの町が見えるところで、写真ストップ。

家はローズと呼ばれる石で造られている。この辺まで、ずいぶんのぼってきたが、これから谷に下りていく。途中でチラリとセナンク修道院が見えた。低地なので、昔は集中豪雨のときに、回廊も1,2メートルくらい水に浸かったそうだ。(今はそういうことはない)

セナンク修道院  バスの窓からなので、左に少し椅子がみえている。 

10時15分〜11時 セナンク修道院
 http://www.beyond.fr/sites/senanque.html
プロヴァンスにあるシトー派の修道院で、ル・トロネ、シルバカーヌとともにプロヴァンスの三姉妹と称される修道院のひとつ。

シトー会は1098年 ディジョンの近くのシトーという場所にロベルトゥスという修道士によって創設された修道院がもとになっている。
当時、クリュニュー修道院が貴族たちの寄進や代祷などにより富を蓄え、清貧のうちに祈りの生活をおくる という目的からそれてしまっているとして、起こされたのだ。(修道会として、正式に認められたのはは1106年)

セナンク修道院の歴史概略 
1148年から100年ほどかけて建てられたが献堂式は1178年、カヴァイヨンの司教によって行われ、13世紀に最盛期。しかし、近隣の貴族から土地などの寄進を多く受けたため、クリュニューと同じように清貧の理想とはほど遠くなり、14世紀には衰退した。が、協力な修道院長があらわれて持ち直した。しかし、16世紀には異端ヴァルドー派やプロテスタントに襲われ衰退、17世紀には修道士は二人。その後フランス革命により、国有財産として売却されたが、信仰心の篤い人に購入されたため、命脈を保った。

今日も修道院として機能しているが、国家の補助などはないので、経営は大変らしい。
最近はホテルとして、泊まれるようにもなっているという。
売店も広くて、写真や絵葉書だけではなく、ラベンダーグッズなどいろいろ売っていた。

 
シトー会の修道院は、祈りの生活に必要なものだけ、ということから、殆ど装飾がない。2003年にフォントネーでもシトーの修道院を見たが、余計な装飾がないだけに、建物の構造そのものの美しさが魅力で、なんとしてもプロヴァンスのシトー派三姉妹をみておきたい、というのが今回の旅の第一目的。 

ここは現役の修道院ということで、入場が制限されていて、ガイドツアーであるから、ゆっくり見ている暇がない。
おまけにわれわれは遅れて入ったということで、急ぎ足。写真を撮ろうとすると、すぐ一行の姿が見えなくなるという状況で、じっくり浸るどころか、此処が何処かも分からないまま歩いた。

そういうわけで、ここは三つの修道院の中で一番印象が薄い。
(最初に見たので、だんだんほかの修道院と混ざって記憶があいまいになってしまったところもあるとは思う)

寝室
シトー会はカルトジオ会とちがって、共住制なので、寝室は大部屋である。
床にわら布団をしいて、着のみ着のままで寝ることになっていた。
床に薄く赤い線が残っていた。一区画約一坪強程度だが正方形でなく少し長方形。
単なる一人分の場所の区切りかと思っていたら(説明をよく聞いていなかったのだろう) 買ってきた説明書によると、15世紀以降は小寝室に区切られていた そうで、どうやら、その仕切りの跡らしい。(写真にはうつっていない)。

壁の厚さは約1.3m。

寝室 長さ約30m 約30人の修道士が寝むことが出来る

この教会は敷地の関係であろう、東向きではなく北向き(つまり外からみて、半円形に突出している後陣が建物の位置から言って北側にある)

内陣 東側 
奥にはジョフリー・オブ・ウナスク(寄進者)のお墓

教会堂の交差部には八角形のドームがあり、上に明り取りがある。四角い壁に八角形のドームをのせるために、スキンチという技法が使われている。そこが花びらで囲まれていてかわいい。(室内がとても暗かったので、加工してもこれ以上はっきりしません。モニターの角度を動かしていただくともう少しよくご覧になれるかもしれません)
回廊
シトーは装飾を廃するというが、ここの柱頭は少し模様がある。

柱頭には少し植物模様が彫られている

三つの小アーチをひとつの大アーチでまとめる、このデザインはいい。今回はこの形を多く見た。

暖房室 、ここしか修道院で暖房のある部屋はない。次いでチャプタールーム

暖房室 中央に見えるのが暖炉 ここは写本製作などに使われた

はっきりしないが、柱頭に装飾がある チャプタールーム

チャプタールームを出たところの回廊の柱にタラスクの彫刻。ここで見学はおしまい。30分ほどのガイドツアーであった。、

売店で少し買い物をして外に出る。
やはり、ここの外観は素敵だ。

ラベンダーはまだ咲いていない、コクリコが咲いていた

ラベンダーが咲いていたら、もっと素晴らしいのに、まだ時期が少し早いようだ。
11時20分〜12時15分ルシヨンへ 途中のゴルドで、ガイドさんとさよなら

なだらかな丘、畑、ぶどう畑もある、ところどころ、赤いコクリコ 景色がいい。そのうちどうも土が赤くなってきたと思ったらルシヨン。

ルシヨン

この町の案内 Roussillon Town Village visit - by Provence Beyond
 
ここは黄土の町、赤っぽい岩山があり、それが黄色い顔料になる。

家の壁はどれも黄色から赤い色に塗られている

現在は科学染料を使うので、採取されていないが、山は削りとられて褐色の岩肌がみえている。しばらくその岩山を眺めてから食事。

昼食レストラン 外観はさほどでないが、お味はとてもよかった


12時30分〜14時
 レストラン・ル・ビストロ で昼食
サラダ、ポークのプロヴァンス風煮込みとフィットチーネ、パンナコッタ

サラダ

ポークの煮込み、フィットチーネ添え パンナコッタ

とても美味しかった
食後、教会のところまであがって、展望

14時20分〜15時20分 バス
バスのなかで、Yさんがセナンクでお買いになったCDをかけてくださった。

なだらかな起伏のある畑地、ところどころコクリコが一面にさいているところもあり、きれいな音楽を聴きながら、バスにゆられていった。降りる少し前に大粒の雨。でも短い時間だったので、降りるころには小ぶりになっていた。
 
15時30分〜16時30分 サラゴン・ノートルダム小修道院 (標高435m)
Salagon Priory Sites Visit, - by Provence Beyond
 添乗員さんがチケットを買っているあいだ、少しブラブラしていると、どなたかが、草むらにカタツムリを発見。小さいのがうじゃうじゃいた。

サラゴン修道院

ここはガロ・ロマンの遺跡のある場所にたてられた修道院の教会。 使われている石の色がセナンクと同じ落ち着いた灰色でロマネスクらしく高さのあまりない教会である。
12世紀の終わりに建てられた、ヴィルヌーブ・レザヴィニョンのサンタンドレ修道院に属していた修道院だ。
小学生が校外学習で来ていた。 

入り口、中の壁や柱頭には少し彫刻がある。壁にはうっすらフレスコ画、後陣の床にローマ遺跡(水道管跡)

タンパンにはフレスコ画の名残が見える

彫刻拡大

教会内

 14,5世紀の壁画 左はキリストを肩に乗せたクリストファロス

キリストの洗礼(右上から神の手が伸びている)
12世紀
鹿狩り

羊飼いへのお告げ

グリーンマン? 香水をつくるための道具

ハーブについての展示や香水つくりの道具などが展示されている部屋がある。
また庭はガーデニングの見本のように趣向をこらした庭つくりがされていた。

18時35分ごろホテル着
シャトー・アルヌーの町に入って渋滞して時間がかかった。
ホテルは ボンヌ・エタップ 連棟式で、一戸一戸、外から入るようになっている。鍵が少し、むずかしい。
外から直接入るので、防犯上ちょっと心配になるが、雨戸というか板戸が、ガラス戸の外についている。
お部屋はゆったりして、素敵。

ここで、ちょっとアクシデント。小さいキャリーの鍵が開かなくなってしまった 番号を合わせるタイプ。仕方がないので、フロントの人に来てもらった。、一生懸命あけようとしていたが、「私がもう10分もやってだめだから、もう壊してもいい」、と言って(ここはフランス語の上手な同室のFさんに助けていただいて) こわしてもらった。(上手にかぎだけを切って、本体は無事)助かった。

19時30分  夕食


われわれグループだけのお部屋
ワインをついでくれるソムリエがちょっと気取った感じで、フランス的。
ここのお食事はミシュラン一つ星。

お食事そのものはこれまでの昼食レストランなどもとても美味しかったのだが、やはり、演出、というか盛り付けなどが素敵だ。
メニューには三品しか書いてないが、前菜の前に
 突き出しのように、子盆(スモークサーモン、フォアグらのゼリー寄せ、トマトスープ)それと、グリッシーニ、酢漬けのお魚など
 前菜(ズッキーニの花のズッキーニ詰め、ナスのペースト)
 メイン スズキのグリル、野菜ケーキ
 デザート チョコレートケーキ イチゴ カカオシャーベット
 デザートもう一種 、カシスのシャーベット
 コーヒーに小菓子

スモークサーモン、フォアグラのゼリー寄せ、トマトスープ

グリッシーニ、酢漬けのお魚

ズッキーニの花のズッキーニ詰め、ナスのペースト ドラド(鯛の一種)のポワレ、野菜ケーキ

デザート

奥、チョコレートケーキなど、手前は小菓子

ともかく綺麗に作られたお料理。
素敵な雰囲気の中ゆっくり、おしゃべりとお食事を楽しんで 22時10分ごろ部屋に戻った。
ここのバスルームにはシャワールームが別にある。私は結局そちらを使わなかったが、面白いシャワーで上からだけでなく横からもお湯がふきでてくるそうだ。