2日目  

7月20日  ブカレスト滞在



2時過ぎ、もの凄い雷雨で、目がさめる。この雨で、また洪水になってはと心配になるが、何時の間にかまた寝てしまい、次に目がさめたのは5時。 5時半頃には明るくなった。外は20度。(今回は温度計を持って行った)

 このホテルはちょうどアテネ劇場の裏にあたり、庭のプールが見えるが水は張ってなくて、ちょっとさびれた感じがする。
 ホテルそのものは大きくはないが昔は由緒ある建物だったような雰囲気のホテル。
エレベーターは旧式で、ステキな鉄の飾りの扉を自分で開けて乗る。
最初は気がつかなかったが、降りたとき、きちんとこの鉄の扉を閉めないと、危険防止のため 動かないようになっている。誰かが閉め忘れると別の階で呼んでも動かない。
ボタンを押してもこなくて、結局は駆け下りることが何回かこのあとあった。エレベーターボーイが必要だ。
7時40分  朝食に降りる。
ひまわりの種の入ったパン、ベリージャム チーズ(塩気が強い)
ヨーグルト(カッテージチーズ風で、ポロポロしている)にカットフルーツを入れる  コーヒー
ジュースはハイビスカスらしきものを選ぶ。
ハム類は二種類だが、パンの種類が多かった
10時  集合。ウイーン泊を想定して、今日の観光は少なめなので、ゆっくりの出発だ。まず近くの両替所に皆で行く。イヴァンカさんの身分証明書があるので、パスポートの提示は求められなかった。
 200ドル=58000000レイ (40円が約一万レイ)両替。
ドル、ユーロ、円を10:5:2 位の割合で持っていったので、ドルから使いたかったのだが、とっさにはどれが有利か良く分からない。ここでは円は扱っていなかった。
 50ユーロくらいで大丈夫と添乗員さんには言われたが、多少多目に換えた。おみやげ物などあまり買わなかったせいか(少しユーロも使ったが)ルーマニア8日間はこれで足りた。

ホテルの戻ってすぐバスで、市内観光

教会建築を見るのが趣味の私にとって、ルーマニアで思い浮かぶのはモルドヴァ(ブコビナ)地方の外壁にフレスコ画のある修道院だが、一般的にはあの悪名高きチャウシェスク大統領が思い浮かぶのではないか、と思う。
まず最初にいったのは革命広場。そこには、、チャウシェスクが1989年12月22日,バルコニーから最後の演説をし、その屋上からヘリコプターで飛び立ったという旧共産党本部がある。 またこのそばの建物はそのときの銃撃戦による弾痕がまだ残っていた。

旧共産党本部

銃弾の痕が残る壁

チャウシェスク処刑後、私腹を肥やしたという証拠はあがらず、末期は共産党高級官僚が実質的実権を握っていたけれど、国外に逃亡して、真相はわからないそうだ。
 しばらく前に読んだ米原万理さんの『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』を思い出した。その中にルーマニアの共産党幹部の娘の話が出てくるのだ。(この本は、チェコで小学校時代を過ごした作者が、友達だった各国の共産党幹部の子供たちが、1989年の東欧革命以後どうしているか、訪ねていったときの話で、激動の中で友達それぞれの生き方が語られていてとても面白い)

その向かいには周囲とはちょっと不釣合いな、教会が建っていた。
クレツレスク教会。茶色だが、姿は写真で見たモルドヴァの教会と同じ形だ。

聖クレツレクス教会

教会入り口、ルーマニアの教会はこのように
入り口にポーチのあるものが多い

これは18世紀に立てられたもの。

中はミサ中。

後ろには、信者が持ってきた

ものと思われるお菓子や

果物がテーブルに載っていた。

10時50分〜12時15分
 国民の館 を見学。これはチャウシェスクが日本円にして、1500億円をかけて作らせたという建物でまだ未完成。
ともかく大きい。建物としてはアメリカのペンタゴンに次ぐ、世界で二番目に大きな建物だそうだ。
入館の際のセキュリティチェックが厳重で、かなり長い間待たされた。
おまけにビデオ撮影料として、30万レバ(1200円)も取る。

広い廊下、たくさんのホール、ルーマニア中から集められたという大理石がふんだんに使われている。特に豪華なシャンデリアがたくさんあるのに驚いた。様式は良く分からないが、アールヌーボー風なところもあった。いったい、どんな紳士淑女がここに集ったのだろうか。これほどの広間をうずめつくせたのだろうか。チャウシェスクが好きだったという画家の絵も飾られていた。(下右) 

12時40分〜55分  大主教教会で、写真ストップ。時間があったので、中にはいってみる。
 この教会は、1656年に立てられたもので、中には、ディミトリ・バサラボフという聖人のミイラが安置されていた。ここでは、ミサは行われていなかったが、熱心な信者が列を作り、イコンの前で、祈り、くちずけをしていた。

大主教教会

中央のドーム

静かに順番をまって、祈りを捧げる人々

イコンにキス(写真に撮るのは失礼かと思ったが)

 今日は二つの教会を見たが、どちらにも敬虔な信者がつめかけていて、普通に熱心にお祈りしている姿に心を動かされた。(普通に、というのは以前イタリアで、巡礼たちが感極まってか、涙を流しながら聖人の遺骸に口付けをしているのを見たことがある、汗と涙とヨダレでぐちょぐちょで、悪いけれどちょっと異常な気がしてしまった。)
 教会の形も西欧では多くは真上から見ると十字架の形をしているが、ルーマニアのは長方形で、袖廊というものがない。また入口にはポーチがある。

街には牛の彫刻が多かった

昼食レストラン

13時20分から2時半 CASA CENTRALA A ARMATEI  で、昼食。ここは軍人がよく集まったので、こういう名がついたのだそうで、由緒ありげな素敵な建物だった。 
スープ(豚肉、トマト入り)、サルマーレ+ママリガ、りんご   ワイン 6万レイ(2ドル)
 その後 ホテルに戻り、希望者は近くのスーパーへ、それほど大きなお店ではなかったが、お惣菜が美味しそうだった。ミネラルウオーターを大小一本づつと、プラムを一個買った。 

 ホテルに戻って、入浴
ホテルの部屋のキー
 このホテルは古い建物のせいか、キーはカードではなく、普通の重い鍵で挿し込んで回すタイプ。

ホテルのはドアを閉めると通常、自動的にロックされる。キーを持たずに出て閉め出されないよう気をつける、というのが常識。そうだとばかり思って、夜ドアは閉めたが、キーを挿し込んで施錠する、ということをしなかった。ところが今日、それでは鍵がかかってないことになる、と言われてびっくり。鍵がかかっているかどうか一応中からノブを回してはみているが、中からだと開くのは当たり前なので、一人だと確かめようがない。部屋から出る時は一応ノブを回して開くので、施錠はしていたのだが。このホテルのドアにはチェーンも付いていない。一晩鍵をかけずに寝ていたことになる。
 この後もルーマニアのホテルは殆ど、中からも同じ鍵で施錠しなければならないタイプだった。
部屋に入ったら、施錠して、キーはそのまま鍵穴にぶらさげたままにしておくこととした。(どこに置いたか探さなくてもすむので)

7時30分  ホテルのレストランで夕食
 トマトスープ、鮭のソテー、チョコレートケーキ(美味しかった)
 ワイン  10万レイ 
 部屋に戻って、9時30分頃寝た。