3時50分目がさめ、起きたのは 5時 洗濯、片づけ、
6時20分 朝食
8時35分 バスで出発 ペルピニャンからE15を南下
ペルピニャンという町はバルセロナに次ぐカタローニャ地方の中心地。アラゴン王が17世紀半ばにこの町をフランスに委譲した、スペイン風の町。しかし 今回の旅ではこの町の観光予定はない。
向こうはアンペール山脈 その向こうがカニグー 今回の旅行中、今日だけ、お天気がはっきりしない日だった。
9時15分 サン・ジェニ・デ・フォンテーヌ着 地図は拡大しないと出ないが、ブルーから左に少し行ったところ。
風が強くて 寒かった。 ここからスペイン国境まで 17Km
サン・ミシェル教会 Abbaye de Saint-Genis-des-Fontaines の Eglise Saint Michel
最初の教会は 修道院長サンティミールの記述によって、819年にはあったことが確認されているが、その後ノルマン人の襲撃により破壊され、10世紀に再建が始まった。その後も建設が続けられ、1127年 1153年に竣工式がおこなわれている。建設はルシヨン伯とエルヌ司教で進められた。
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平面図 細い横縞部分は 後代の増築部分 |
まず 西正面
ロマネスクの特徴を示している点としては マンドルラやアーチ列の中という枠組みの法則によっている。着衣の襞は大胆な図形主義に刻まれているが、身体の丸みをも表そうとする感覚も現れている。このような、構造上の基本概念および造形性が、その後のロマネスク彫刻の様式を決定づけている特徴(小学館 197頁)と説明されている。
下は 横にあった 磔刑図
アプシス側にまわって回廊に入る。
回廊は13世紀に造られた。バラ色(ヴィルフランシュ・ド・コンフラン)、白(セレ Ceret)グレー(ベクサ Baixas)の大理石に彫られている。
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色とりどりの柱 、ただ 石の模様が邪魔をして彫刻が見にくいものもあった |
柱頭彫刻は 時代によってバラつきがあるが、プリミティブなカタルーニャ風 が中心と説明されている。もとは着色もされていたようだ。はっきり言って稚拙な感じのするものが多いがちょっと微笑ましい。
中に入る。
8世紀の黒マリアに12世紀の柱 祭室部分は 10世紀の部分がのこっている
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馬蹄形アーチのようだ |
8世紀の 黒マリア 柱は12世紀 |
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カロリング朝の 祭壇 |
17世紀のモンセラ (この教会のパトロン)
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天井の 造りがわかるようになっていた。
煉瓦に漆喰を塗った。 |
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西側を見る |
洗礼盤 台は12世紀 |
10時20分 バス
10時50分 モレイヤス・ラス・イヤス Maureillas-las-Illas のサン・マルタン・ド・ フノヤール教会 Eglise Saint Martin de
Fenollar
844年には教会があった(先のサン・ジェニと同じ時期)とされるが内部の壁画は12世紀半ばのもの。
教会とは思えない小さな建物で内部も狭い。この教会は13世紀に地震があり、その後教会としては使われなくなって倉庫に使っていたそうだ。
19世紀に修復したが、修復しきれていない。20世紀にも修復。
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左側が 教会で 前の四角い所が アプシス(細いスリットのような窓) |
非常に残念なことに内部の写真撮影は不可。
Chapelle Saint-Martin de Fenollar — Wikipédia
このサイトで写真が見られます。(実際より色が鮮やかすぎる気はしますが)
http://www.romanes.org/Fenollar//index.html
買ったりもらったりしたものから 写真をのせましたが、 上のサイトの方が沢山見られていいです。
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帰りがけにちょっと手をのばして(少し入り込んで) 写真を一枚撮ってしまった。
悪いことはできないものでピンボケ でも 馬蹄形アーチは 分かる |
プレロマネスクで馬蹄形アーチになっている。ここの壁画はとても迫力があるので、ずっと見たいとおもっていたものである。
農婦のようなマリアが有名。教会自体の小ささもあるが、思ったより絵が小さいので驚いた、このマリア様も目の高さくらいにある。顔も私の掌より小さかったような、、、。本や雑誌で見た写真よりずっと色が鮮やかだった。(修復?)
御生誕の聖母、写真では怖く思えたが、実際はそういう感じはしなかった。色鮮やかで輪郭がくっきり、カタロニア美術館にある壁画のようだ。
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御生誕 農婦のようなマリア様 |
左右の壁には上下二段に描かれ、上には黙示録の長老たち
下段 左から、お告げ、 御生誕、 羊飼いへのしらせ
右は マギの礼拝と帰還 正面の壁にはオランスの聖母 天井は 四福音書記者に囲まれた栄光のキリスト
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左 オランスの聖母 右 黙示録の長老 |
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四福音書記者に囲まれた栄光のキリスト |
マギ |
小学館美術全集によると)この教会の画像プログラムは
ヨハネの黙示録に従い、長老たちが賛歌をささげる黙示録の神が、マリアから生まれたもの、すなわち受肉したロゴスと同一の存在である、という教義理念を表していて、これは 西ゴート時代初めの頃のアリウス派否定の意図の表れ、ということになるそうだ。(三位一体)
兎も角 非常にインパクトのある壁画である。20世紀にピカソやブラックに強い印象を与えたことも頷ける。
長年観たいと思っていたものがこのように間近に、目の高さで見られるなんて、ゾクゾクした。ショップで 小さなカタログを買って、バス。
11時40分 バス
(上の地図を拡大していただくと、海辺のポール・ヴァンドルというところのすぐ上に見つかるコリウールを目指します)
この辺りのピレネーをこえて、 第二次大戦中 ユダヤ人哲学者ベンヤミンは亡命を試みた(スペインからポルトガルへ行き、そこから船でアメリカへ)。しかし(地図でいうとセルベールのすぐ下)ポルボウ(Portbou)のホテルで自殺(暗殺されたとも言われている)。読んだ本の内容は全くおぼえていないが、悲劇的な死をとげたことは覚えている。 どのあたりか、と山々に目を凝らした。
そのⅡへ続く
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