8月15日

9日目

コッツウォルズの村巡り


今日はチェルトナムのホテルに連泊してコッツウォルズの村巡りをする日だ。
コッツとは羊小屋、ウォルドは丘、という意味で、グロースター州を中心にオックスフォード州やウオーリック州の一部を含む、200メートルくらいの高さの丘陵地をコッツウォルズという。
6時過ぎに起床
7時15分、朝食におりる。
ビュッフェはカットフルーツ、クロワッサンやデーニッシュがいっぱい。、それらをとってテ−ブルに着くと、イングリッシュブレックファーストの注文を取りにきた。食べられないとは思ったけれど、一応、注文した。
ホテルの前はお花のきれいな公園なので、朝食後Iさんと写真を撮り合う。

9時 出発
町を出たところの丸い形の建物(ドーナツ形)は GCHQ という、テロ対策などのために世界中の電波を調査している建物があった(要するに盗聴しているのだ)。

空軍基地の横も通った。世界ではじめてジェットエンジンを開発したところだそうだ。のどかな田舎見物に行く、というのに物騒なところ。
9時25分〜10時20分 グロスター

針の目をかたどったポール

ベアトリクス・ポターの絵本に『グロースターの仕立て屋』というのがある。それにちなんで、歩道のポールの上部には針の目のような穴が開けられている。

この町はローマ時代からあった。そのため道路が碁盤の目のようになっているのだそうだ。
グレヴム
と呼ばれローマの第二軍団の本営地だった。
この軍団の本営は、ウエールズ地方の部族に対する軍事拠点で後にカーディフ近くのイスカに移された。
しかし後のサクソン人にとってもこの地はマーシアとウエッセクス両王国の接点として重要な場所であった。 
少し町中を歩いて教会に行く。

舗道のモザイク 現在の通りの名の下にはローマ時代の名

グロスター大聖堂  教会に入るには、3ポンドの寄付が必要。
創建は679年にさかのぼるが、現在の教会堂は最初のノルマン人修道士セアロ(ウイリアム征服王の軍隊付き司祭だった)が、1089年に造り始め、1100年にほぼ完成したもの。(勿論改築はある)クリプトには1087年ごろセアロが造ったオリジナルの部分が残っているはずだが、クリプトにはおりなかった。
入るとすぐ眼に入るのは太い円柱の」列。ああ、ノルマンだ、と思う。階上廊の太いニ連アーチ、アーチのギザギザ、どれもノルマン様式の特徴だ.。

今日のガイドはアランさんというおじいさん、このガイドにしたがって、教会内を廻る。教会の建築中亡くなった石工の彫刻が持ち送りにある。
エドワード二世の墓。1327年、エドワード二世は王妃のイザベラとその愛人ノモーティマーの差し向けた刺客によって殺されたといわれている王だ。
ウイリアム征服王の長男、ロバート・カートーズ
のエフェジーもあった。この人は十字軍に行ったので、足をクロスした形で横たわっている。彼は父王からノルマンディーを遺されたが。英国も欲しくて弟のヘンリー一世と戦ってやぶれ、カーディフ城に28年間閉じ込められて1134年に亡くなった。
悲運の死を遂げた二人を受け入れたことから、『イギリスの大聖堂』 の著者、志子田氏は、この教会を<判官びいきの大聖堂>と書いておられる。

エドワード二世の墓、アラバスター製エフェジー ロバートのエフェジー(横臥像)

亡くなった石工に天使が手をさしのべている
のだが暗くてよく撮れていない
グロスターでおこなわれた
ヘンリー三世の戴冠式
身廊におかれていた洗礼盤

東側のステンドグラスは世界最大級の広さ(14世紀のもの)。これは100年戦争(クレシーの戦いや、カレー包囲戦)の戦勝記念だそうで、聖人、王などが上段に、下段には紋章が描かれている。大きいいだけで、白地が多くてとりわけ美しいとも思わなかった。
身廊には彫刻の素晴らしいノルマンの洗礼盤(1140年頃の作)が置かれていた。
グロスターでは特に回廊の天井が有名。
映画『ハリーポッター』でも使われた。
1360年から1412年に造られた。コッツウォルズ産のオーライトと呼ばれる硬い石灰岩だからこそできたらしい。華麗と表したいほど見事なファン(扇形)ボールト。ケンブリッジのキングズカレッジのチャペルのファンボールトによく似ているが、ここも実に素晴らしい。

回廊 天井のファン・ボールトが実にみごと 修道士の手洗い所

ここの回廊には修道士の手洗い所がついているのが面白い。当時はこの溝を絶えず水が流れていた。(昔は食事は手掴みだった! )
教会内でもっとゆっくりしたかったが、さっさと出てしまったのは残念。グリーンマンを探したかったのに。
ショップでピューター製のジャムスプーンを買った(11.9ポンド)
10時20分 出発

11時15分〜11時45分  バイブリー
ウイリアム・モリスがもっとも美しい村と称えただけあって美しいところ。
バスをおりて、小川沿いの森の中の小道を暫く歩くと、アーリントン・ロー
コッツウォルズは石灰岩でできている土地だが、その下は粘土質で、雨は石灰岩を通り、粘土層にたまって、泉ができる。その泉のあるところに村がつくられた。アーリントンローの前も湿地のようになっている。

小川に沿った森の中の小道を行く この家にはきっと妖精が住んでいたに違いない

下左写真の連なった家々は14世紀に建てられた羊小屋で、(羊毛倉庫の説あり)17世紀に羊毛工業が盛んになって、職人の家になり、そのとき、屋根もつけられた、(別の説、屋根はもともとあって屋根裏がつけられた)ハニーカラーに灰色のスレートの屋根。妖精が住んでいそうな家。『妖精ディックのたたかい』(ブリッグズ著、岩波)を思い出した。

アーリントン・ローの家々

コルン川沿いをあるいて バスに戻る。途中の家々のお庭のきれいなこと。川には鴨も泳いでいる。

秋明菊が咲いていた

スワン・ホテルという蔦のからんだホテルがあった。こういうところに泊ってのんびりしたい。
でもまたバスで次の観光へ、
途中、真っ直ぐな道を走ったが、これは昔のローマの道にほぼ重なる(左右三キロ以上は離れていない)300キロメートル真っ直ぐの道だ、とアランさんは言った。どこから、どこまでかは聞きのがしたたので、家に帰って調べてみると、これはエクセターから、バースを経由して、リンカンに至る道だ、と分かった。途中で、この右手三マイルのところにローマン・ビラの跡がある、と言っていた。
12時25分〜14時15分  ボートン・オンザ・ウオーター
バスをおりて10分くらい歩いて昼食の『マウス・トラップ』というインに行く。

マウス・トラップ・イン 看板

ここに宿泊して、アガサ・クリスティは『マウストラップ』という芝居を書いたそうだ。テレビで見たことがあるがよく覚えていない。これも帰って読んでみよう。
エッグ・マヨネーズサラダ、ステーキとキドニーパイ、クレーム・ブリュレ
ワインはシャルドネ2.4ポンド。各自、飲み物はバーで注文して支払いもすませてテーブルに持ってくる。

エッグ・マヨネーズサラダ ステーキとキドニーパイ

クリーム・ブリュレ 敷かれていたマット

さほど高級というレストランではないが、居心地がいい。ゆっくりしたかったが最後の一人になりそうになってあわてて出る。、見るべきところを見ないとまたすぐに出発。それに集合場所が離れているので、道に迷いそう。おまけに集合時間もすぐ忘れてしまうので、ツアーの人が誰もいない場所にいるのはちょっと心配なのだ。

ボートン・オン・ザ・ウオーターというなのとおり、
川が流れている

道の真ん中を水のきれいな浅い川が流れている。 お店も多い。
比較的自由時間も長かったがさきほどのアーリントン・ローの方がコッツウォルズらしくてよかった。
リトル・モデルビレッジ
イングリッシュガーデンなどもあり、そこに行っても良かったが私はただぶらぶらしただけ。

バスに乗って次へ
14時55分〜16時30分 
ヒドコート・マナーガデン 
お金持ちのアメリカ婦人がこのマナーハウスを買い取り、その息子が1907年からつくりはじめたお庭。

とても広大で、案の定、はぐれてしまった。イヤホンをつけているので、声はすれども姿は見えずの状態。Yさんがいらしたので、二人であちこち探し、庭師の方にきいて(この人、日本語でコンニチハ、といった)やっとみんなのところにたどりつけた。

入り口のショップであれこれお買い物。私は特に花好き、というわけではない。それより、このマナーハウスの建物のほうが気に入った。よくマナーハウスに泊る、というのがよくあるが、ここがホテルなら泊りたいと思った。好きなときに散歩したり、お庭でお茶をのんだりできれば素敵だ。 
これで、今日の行程は終り。でもアランさんのプランなのか、旅行会社の予定なのか、帰りはコッツウォルズの村々を寄り道して車窓観光しながら帰ったので楽しかった。

ブロードウエイ(バスの中から)

チッピングカムデン  カンタベリーのトマス・ベケット殺害の刺客の一人はここの人だったのでその懺悔のためにこの町の教会は建てられたそうだ。

ブロードウエイには有名なリゴン・アームズというホテルがあるがその横を通った。
それから、ウインチカムを通って17時50分チェルトナムに戻った。

時間があれば近くのトゥーキスベリーの教会にタクシーで行きたかったが、夕食がホテルではなく外のレストランなので、間にあわないと困ると思いやめにした。
早いもので、明日はロンドンに戻る。ロンドンの夕食はついていない。今日が皆と一緒の最後の夕食なので、キャンセルしたくなかったのだ。
夕食はバスで、ライジング・サン・ホテルに行く。ホテルなので、着替えをしていったら、なんということはない、矢張りパブレストランだった。
でもお食事は キドニーパイも多すぎず、お味もまずまず。 サラダ、フルーツ
9時前にはホテルに戻る。
荷物整理、葉書をかいて、洗濯をして、やはり寝るのは12時過ぎになってしまった。

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