階下へおりて歩きまわっていると聖墳墓チャペルというところで、うっすら残る壁画を見つけた。

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玉座のキリスト 13世紀 |
キリスト埋葬 12世紀 |
そうこうしているうちに、クリプト・ツアーの時間になり人が集まってきて、ガイドが戸を開け、地下(クリプト)に降りる。ここはノルマン時代の遺構である。
奥に誰か立っている。と思ったら、これはアントニー・ゴムリーの鉛彫刻。
私は知らなかったが、ゴームリーは大変有名な彫刻家で日本でも展覧会が開かれたことがあるそうだ。
このクリプトは冬季、浸水する。たしか、手のところまで水がくるようなことを言っていたような。(それにしては高すぎるので、水をすくっているだけかもしれない。ともかく英語の解説で、難しい言葉ではないが早いので耳をこらしてよく聞かないと理解できない。勿論日本人は私一人)

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クリプトの奥に人が |
井戸(この井戸から水があふれてくるらしい) |
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ゴームリー作 『サウンドU』 |
井戸があった。底から、ブリトン時代の奉献物が発見されて、これがケルト以来の泉信仰と関係があることが分かったそうだ。フランスのシャルトルと同じだな、と思った。(シャルトルのクリプトにも井戸があった。教会は異教時代の聖地に建てられることがよくある)サクソン時代の部分もある。

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見学風景 クリプトは物置にも使われているようだ |
サクソン時代の部分 |
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泊ったお部屋 |
30分くらいのツアーのあと ショップで買い物をして、一度ホテルに戻る。
イギリスのホテルの良いところはお茶道具がお部屋に備えられていることだ。
お茶をいれ、置かれているビスケットで、一息いれる。ついでに、絵葉書も書く。
今度は町の観光。
ウインチェスターは非常に歴史のある町である。
ブリトン人の町にローマ人がやってきて(ヴェンダ・ベルガルム という名)町をつくったが、410年、ローマが弱体化して、町を放棄。
その後、サクソン人のウエセックス王国の首都ウインチェスターになった。アルフレッド大王(在位871から899年)の都だ。
この頃、北方からデーン人がせめてきたのだが、アルフレッド大王が阻止。
その後、フランスのノルマンディーからやってきたウイリアム征服王(1066年)により、ノルマン王朝が始まるが、ロンドンとともにこのウインチェスターでもウイリアムは戴冠式を挙げた。それほど英国史にとって重要な町なのだ。
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ハイ・ストリート |
ブリトンの伝説の英雄アーサー王にちなむ場所はウエールズ、コンウオールにいくつもあるが、ここも大事な場所だったようだ。
そこでまずアーサー王の円卓がおいてあるグレートホールへ向かう。
ホテルの一本向こうの大通りがハイ・ストリートだ。
そこを7、8分進むとウエストゲート(12世紀創建、14世紀改造)。
この左手がキャッスル・ヒルでノルマンのお城の廃墟。
ウイリアム征服王が建てたが、グレートホールはヘンリー三世(1216年〜72年)が造った。
その後お城は火事で焼けて、グレートホールだけが残った。
ここの壁に円卓が掲げられている。円卓そのものは14世紀につくられ、1522年にこのような絵が描かれたそうだ。

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ウエストゲート(拡大写真は紋章部分) |
グレートホール |
奥に庭がある。クイーン・エレノア・ガーデン。中世の写本に基づいて亡くなられたクイーン・マザー造らせたもので、イギリスの二人のエレノア王妃(ヘンリー三世妃)の名がつけられている。
キャッスル・ヒルにはお城の廃墟がある。入りたかったが、人があまりいないので、気持ちが悪くて入れなかった。
それから、ふらふら町を散歩していると大聖堂の南側の市壁のところに出た。
キングズゲイトがある。その通りには、ジェイン・オースティンが最晩年に住んだ家がある。(個人の家なので入れない)

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キングズ・ゲイト |
左がキングズゲイト右の道を行くとすぐにオースティンの家 |

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手前がジェーン・オースティンが晩年に住んだ家 |
ドアの上のプレート |
この通りを進むと左は市壁、右はウインチェスター・カレッジ。これは1382年にできたもっとも古いパブリックスクール。クローズド、となっていたということは、時間によっては中が見られたということらしい。ちょっと残念。

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ウインチェスター・カレッジ |
そのまま進むと右手にウルブジー城の廃墟。ここも人がいないので入るのをやめる。
間もなく川につきあたる。イッチェン川だ。前を女の人が二人歩いているので、安心して川沿いの散歩道を行くと途中で二人は曲がってしまった。ひと気のない道をいくのが少し不安だった。
川の水も澄んでいて本当に綺麗な散歩道。突き当たりに広いバス通り。向こうにあるのはシティ・ミル。

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シティ・ミル |
左に折れて少し行くとアルフレッド大王の銅像があった。
ここを左に折れるともうホテル。
5時45分だった。二時間ほど歩いたことになる。フロントで夕食を7時30分に予約して部屋に戻る。疲れたので先にお風呂。
7時半 夕食
スターターもメインも数種類から選ぶ。十数年前にイギリスに来たときは、ディナーは伝統的イギリス料理だった。今はツアーのホテルも含めて多国籍というか、モダン・ブリティッシュになっているようだ。

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サーモン・フィッシュケーキ |
リゾット |
スターターはサーモン・フィッシュ・ケーキ どんなものかと思ったらコロッケだったが、油っぽくなくて直径6p、厚さ2.5pくらいあったが、全部食べられた。
メインはリゾットにしてみた。
味はいいのだが、チーズが少ししつこくて、かなり残してしまった。
矢張りデザートは入らないので、2コースにすることにしたが、コーヒーは飲みたくて、頼んだ。アーモンド・キャラメルがけしたクッキーがついてきた。私には丁度よいデザート。
これとグラスワイン、サービス料で、31.35ポンド。(2コースで22ポンド、3コースだと29ポンド、リンカーンのホテルと同じくらいで、どうやらこれがこのクラスのホテルのディナーの相場らしい)
9時少し過ぎにお部屋に戻る。
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